世界は光に満ちている

sekai wa hikari ni michiteiru

世界は光に満ちている
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神18
  • 萌×29
  • 萌5
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
9
得点
141
評価数
33
平均
4.3 / 5
神率
54.5%
著者
深井結己 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784812475188

あらすじ

時は昭和二十年、太平洋戦争下の日本の小村の片隅。医学の道を志し帝大に進みながらも、病によりその途半ばであきらめ帰郷せざるを得なかった榎戸正之介は、その不遇を託つこともなく世捨て人のごとく、ただ日々を送っていたのだが、そんなある時、撃墜された米軍機から瀕死の状態で脱出した若き米兵・ジョーイの闖入という青天の霹靂に見舞われてしまう。
そして、普通であれば官憲に突き出すべきところを密かに匿い介抱してやるのだが、その過程でそれぞれの境遇を知り、心かよわせ合ううちに互いになくてはならない存在となっていき……果たして、この決して許されぬ恋の道行きの向かう先は――!?

暗く不幸な時代に抗い輝いた至高の愛の邂逅をドラマチックに描き麗人誌上で大反響を呼んだ表題作他、等身大の男たちのピュアな想いに満ちた人生の旅路を綴りエイジングBLの金字塔との呼び声も高い「五月雨る抱擁」等、ヒューマンな魅力にあふれた最新傑作5編を収録!!

……この感動、無限大!!!

表題作世界は光に満ちている

墜落したB29の乗組員 ジョーイ・21歳
病で療養生活する男 榎戸正之介・29歳

同時収録作品象げ色の銀河

兄の友人で小説家/ニ敷禮次郎・27歳
家族を亡くした元呉服屋の跡取り/廣野楓・25歳

同時収録作品上弦の月が沈んだら

高校生/日吉航太郎
亡き父の部下/天ヶ瀬真尋

同時収録作品契る花

継也の世話係・笹一
村の厄を払う/継也

同時収録作品五月雨る抱擁

田舎から出てきた大学生/神沢
妻を亡くしたアパートの管理人/糸屋(34歳)

その他の収録作品

  • 色にはちょっとうるさい男(表題作描き下ろし)
  • あとがき

レビュー投稿数9

感動した!!

6本の短編集なんですが、どれも充実していて思わず涙がこぼれるほどに感動する作品も!
ただ、死ネタが3本ほどあるので、バッドエンドではないですが、死によって幸せを得るというハッピーエンドですので、苦手の方注意です。
そしてどれも一本を除いて時代モノ(古いのから昭和まで)、一本を除いて年下攻め、一本を除いてメガネもお約束登場ですw

表題はもう涙ボロボロでした!
終戦も間近い昭和20年。
B29が墜落し、生き残った一人のアメリカ人が、医者を目指しながら結核の為断念し、山手の一軒家にひっそりと暮らしている正之介の元にたどり着き、彼と彼の弟に匿われる。
敵の異国人でありながら、怪我をした彼を看病する正之介の、自らも病を持ち、医学を志した者として、命に生と死に真正面に対峙する姿にアメリカ人ジョーイは惹かれていく。
正之介の言葉の一つ一つが心に染みいる。
なのに、「自分が死んでも誰も困らない」「俺の存在には意味はない」とすでに自分自身の生について諦めて生きている言葉がとても悲しいのです。
正之介を慕う年の離れた弟がいるけれど、彼は寂しくて愛されたいと渇望していたんだなと思います。
ジョーイと愛し合い、初めて生きることの意味を見つけた彼の幸せに、それを語る言葉に、胸が熱くなる思いがします。
短編なのに、要所がぎゅっと詰まってはずしていない。
短いエピソードだけで、この展開に満足する、その見せ方の見事さに、短編でなく一冊まるごとを読んだような満足感があります。

『契る花』は村の繁栄の為に生贄として捧げられる者と、その世話をする者の切ない、恋の成就物語。
エロ的に触手プレイに目がいくのですが、それでなくとも、この主従関係とラストのあっと驚く展開に、こうした愛の成就方法もあるのだと、切ないのに不思議とあたたかさを感じてしまう。
表題と似た展開の雰囲気を持っています。

『五月雨る抱擁』大学の学生寮に住む学生と管理人のお話なんですが、何と壮年(老年?)BLに!?
帯に”エイジングBL”の金字塔との表記がありますが、彼等のその数十年後の姿がチラと出ただけで、本題は出会いのお話がメインですからw
田舎から出てきて、コンプレックスから不安がいっぱいで、それを励ましてくれる暖かい管理人さんは34歳。
それが長年連れ添うことになるとは!?
古い寮にずっと二人で住み続ける、家と共に人間の歩みも感じさせるものは、やはり心に染みいるお話になっていました。

『上弦の月が沈んだら』これも10年以上の年月を重ねるお話。
父親が亡くなってから命日に墓参りに必ず訪れてくれる部下だったと言う男性。
幼い頃から彼と会うのを楽しみいていた、その子供は成長するにつれ、その男性を好きになっていくのだが。
年下の一途で健気な気持ちの話のようでいて、実はものすごい執着なんですよね。
ちょっと恐ろしい気もしますw

『セピア色の象牙』世界が終わるとしたら何がしたい?
そんな気持ちになるほどの覚悟で、昔好きだった人に会いに行く再会のお話。

深井さんの絵もノスタルジックな雰囲気があるので、こうした少し時代がかった舞台とシチュエーションは、作家さんの魅力を増していると思わせる、とても出来のよい一冊でした。

7

これですこれ!!

こういう深井さんの作品を待ってました!
現代ものもありますが少し前の時代の話、昭和初期頃とか大正時代とか、世間も生きる事もままならない、色々な事に翻弄されながらもけれど毎日を生きているそんな少し前の時代の話。
こういう時代設定の話を読むならやはり深井さんの作品が一番好きです。
派手さはなくても、しっとりとしみ込んでくるような話に作画、とにかく大好きです。

全て雑誌で読んでいますが、単行本化を心待ちにしていた作品多数。
まずは表題作『世界は光に満ちている』一緒にいた時間は短くとも気持ちは深く結ばれているふたりの話。
そして『上弦の月が沈んだら』気が付けば幼かった子供が大人の男になっての十年愛。
もうひとつの十年(以上?)愛『五月雨降る抱擁』では、若かった頃~壮年期?の現在でも続く恋愛関係の話。
特にこの三作品は雑誌掲載時に何度も何度も読みました。
で、読む度に涙腺が弱いので涙がダーっと流れる。

深井さんの作品は儚くなってしまわれる登場人物の話がちょこちょこありまして、気持ち的に沈む事もありますが・・・アンハッピーエンドとは言えない「これがハッピーエンドなんだと」思わせられる作品も多数あります。
今回の作品集に収録されているお話も儚く散り、救いがないように思えるけれど実はそうじゃないという話が数本あります。
そして、必ず添い遂げる事の出来る仕組みになっている。その経緯はどうであれ、ですが。

BLでは珍しい触手物『契る花』。
しかし、ぬめっと柔らか変幻自在、太くも細くもぷにっとな、な触手ではなく、木の根?みたいな触手で大変痛そうです。かなり暗めでシリアスな話だったのですが、あとがきでの扱いでは妙に笑える位置付けになっておりました。

それぞれ短編ですが話の流れ、キャラの心情、葛藤、が落ち着いた雰囲気を醸し出していてパラパラと読めない、じっくり読みたい気持ちにさせられる作品集です。
もちろん、恋愛面での甘い部分も沢山あるので、ラブも堪能できます。
カバー下の幸せそうなイラストが、本編を読んだ後だとまた涙を誘います。

4

この絵だからこそ

日本の、ちょっと昔のお話ばかりを集めた短編集。
しっとりと切ない世界観。
お話の中の、雨の匂いや土の匂い、古びた家の日陰の匂いなどが五感にダイレクトに響いてきて、知らないはずの過去の世界なのに、お話の中の世界が、すごくリアルに、懐かしい記憶として、まざまざと目に浮かびます。
そもそも、この作品たちのの、懐かしくって切ない世界観と、繊細な情感を支えているのは、深井さんの、この繊細で端正な絵だからこそ。
お話の結末は、どれもけして軽い物ではないけれど、それでも世界は光に満ちている。
気持ちよくホロリとしたいときにオススメの1冊です。

4

幸せの定義

ちょっ・・切なすぎて胸が痛い(´Д⊂
思わず叫び出しそうになりました。いかん、いかんぜよ
というわけで、今回はちょっぴり時代物なお話の詰め合わせ
いつか、とおくで幸せになるんだろうなと無理やりに心を落ち着かせても
やぱっぱりっこのエンドは頭に残るというか、引きずるというか
「もっと明るいの読みんさいよ」と友人には言われるの毎度のことですが
案外、なんだかんだいいながら引きずるほど切ない話が好きだったりもするわけで
ガツンとくる作品でした。

>>世界は光に満ちている
戦時中、怪我を負ったアメリカ兵を保護した受。
いい大学を出たのにもかかわらず病気のためただのただ飯ぐらい
そんな二人は、寝食を共にするほどに惹かれていった。
老い先短い受が・・とおもいきやな最後
。・゚゚(ノД`)あ゙~
幸せだった、出会いからの期間は短いけれど、そんな言葉が聞こえそうな一作でした

>>象牙色の銀河
好きだったあの人を追いかけて
手を汚す前に一度だけ。一度だけ。。。。
時代が現代じゃないのがいい味をより上げていると思うのです

>>上弦の月が沈んだら
年に1度、父親の墓参りで一緒になる年上の男。
年齢を重ねると、もっと近づきたいと思い、思いは想いに変わり
そして・・・
めぐりめぐっての過去から現在。
伝えられなかった父の言葉と~が重なって思わず゚(゚´Д`゚)゚泣けるお話でした
父がかつて愛した男を息子がってのがなんだかアレですが。。

>>契る花
よもや、木での触手プレイってどーなのよ・・と一瞬思ってしまったわけですが
こいつが一番インパクト大でした。
目の前で「バキバキ」はちょっといくらなんでもエグ・・・・・
でも、このくらいしてくれるBLって最近ないから
ある意味すごいとおもうわけで

12年に一度、山の供物として人が献上される。
選ばれしものの肩には鮮やかな花模様。
村の外から連れてこられた攻が世話を初めて7年。
自らが山に背負っていき、目の前で食われる姿を見てしまう
そしてあまつさえ・・なラスト
残酷なのか、優しいのか。。。12年後ひとつに・・と思えば幸せか
だけれども。。。思い出すと ノД`)泣けてくるからもう言わない

>>五月雨る抱擁
年の差wオヤジ受w
メガネで、目元にちょっとシワな受が可愛かった!!
こういう年の差カップル好きです。
いっこ前が切なかっただけに思わず心が緩むお話でした

4

死ぬ=アンハッピーエンドとは限らない

カラー口絵(五月雨る抱擁)がとても好きです。
雨の中、しゃがんで草木の手入れ(雨の中やる必要はなかろうにというのは野暮か)をする管理人さん(受け)に傘を差し出して背後から抱きつく学生(攻め)。自分はずぶ濡れなのにとても幸せそう。
「一緒にいても…いいんだ…?」「…うん」[ずっと…一緒にいてもいいんだ…」「そうだよ」

くー、たまらないっ!作品【五月雨る抱擁】はこのまんまの世界です。
アパートの管理人さんとそこに住む学生さんとの恋模様で、穏やかな性格の二人の気持ちが寄り添っていく様子が描かれていました。
昭和からお付き合いスタートして、作品の終わりには「ずっと一緒にいた」何十年後かの二人が、出会った頃のやり取りを懐かしむ様子が描かれていて相変わらずお互いを思いやって慈しみあっている様に心打たれます。

全部で6作品(描き下ろし含む)収録されていますが、そのうち三つが死ネタ絡み。死んで全てが終わりではなく更に永遠の結びつきを得るといった内容が多く、アンハッピーエンドとは言えないところが切ない余韻をもたらします。
しかしそのうちの【契る花】には目が点。村の神様の使い「ニギノサマ」として選ばれた青年と、身の回りの世話をする少年とのお話でいよいよ定めに従って人身御供となり永遠の別れかと思いきや、まさかの触手プレイ。
せつないお話かと思ってたら触手ですよ……。あれやめて欲しかったなぁ。なんでここで触手??しかも硬い桜の木の枝で死ぬほど痛そう…。
しかもその桜の木に取り込まれるんだけど、静かに消えるのではなく、バキバキバシャッと潰され&血飛沫飛びまくり系で唖然呆然……。何これ、ホラー?
話の終わりとしては少年(もう大きくなって青年だけど)にも神の使いの証である痣が浮き上がって、次は彼の番、来たる日がきたらやがてその木に彼も取り込まれる事で二人は一緒になれるという終わり方で悪くないんだけど、いかんせん途中がエグすぎて台無し。せっかく綺麗な人だったから、もっとマシな人身御供の方法だったら切ないトーンで作品に浸れたのになぁ…残念。

表題作【世界は光に満ちている】
戦時中、まさかの敵国人・米兵と元医学生の青年のお話。敵兵だけど医学の道を志していたこともあり瀕死の人間を官憲に突き出す事ができず匿う事になります。そして見た目は違えど同じ人間であり、戦ではなく絵を愛する画学生であった事を知りやがて愛し合うようになる。
肺を病んでいて春を待たないと言われている青年だったのにまさか米兵のほうが先に死んでしまいます。そして青年も数日後事切れる。
一番心打たれて泣けたのは死ぬシーンじゃありませんでした。一番最後のページ、二人と一緒に暮らした弟の回想です。確かにそこには儚く短かったけれども光に満ちた世界があったのだと思うと。

4

年下攻め

どの話も昭和から昔の古い時代が舞台になった短編5作品。

ハッピーエンド好みの自分にはちょっと合わない悲しい終わり方もあるのですが
それがまた感動作で・・・
特に表題作の『世界は光に満ちている』は時代背景とともに
当時のどうにもならなかった現実が作品の中に描かれていて
そういう時代に生きた若者の悲しくも美しい姿が表現されていました。
当時はまだ治ることのない肺の病にかかった主人公と
その主人公に助けてもらった外国兵。
誰を責めることもできない状況の中で愛し合った二人の
ほんの一時の幸せに涙しました。
最後に愛し合う二人が同じ桜の木の下で眠ることができたことが救いです。

その他の作品もみんな、共通して攻めが年下受けが年上。
それも結構歳が離れた設定が多かった気がします。
どのお話も、短い中にきちんとストーリーがあってすごく入り込めました。

2

「日本昔話」にゃ酸いも甘いもあるでごさるよ

毎回ね、皆さんにオススメしたいほど好きな作品は詳しくウザく書き込んで「みんな聞いてよ!こんなにいいんだよこの作品!」状態になるのですが、ちるちるには上手にあらすじにからめて感想やちょっとした気づきや小ネタ(この言葉はこんな事の伏線ですよ、この本は前作飛ばしても面白いですよ、この本ホントは雑誌では18禁で発売されたんでエロいですよ←かなり重要)も入れてくれるありがたい方ばかりなので、もう私はそんな素晴らしいレビューは書けっこないのでそれならばなんとかネタバレせずにレビューって方向でどうだろうか?と思ったので書いてみます。

「日本ちょっと昔話」ってあとがきに作者さんが書かれていたけど、そう!まさにそれ!昔話には色々あるのよ…。酸いも甘いもね。あとは作品紹介を見ていただければ。さあ!本作を買って頂戴!

戦時中や昭和初期ものもあるので、ならではのあるあるシーンもあるよ、でもね、深井先生の絵とミョーに感情移入たっぷりのモノローグやセリフがないストーリー運びで、ハートにガクんッと来るのよこれが!飽きっぽい私だけど何回も読み直しちゃう♡

あとは深井作品をオススメするポイントとして、最初は私も絵柄が古いかも…と心配しちゃったけどそれがスッキリとしていい!それに電子の場合、試し読みなんかでは主人公達が結構目つき悪くコチラまで睨みつけてくるような書き方があるけど、大丈夫!その後のデレがたまらなくなってその主人公がたまらなく好きになりますから!

あとはストーリー展開かな。深井先生のストーリーはたびたび「ダーク!」と表されるけど、これも対比でダークだからホットにもなりまっせ!という手法と思われます。そんなに怖がらなくても良いのではないのかなぁ。まぁ、オイオイこりゃダークだなぁ!もありますがね。
でも私はそんな深井先生のトリコで先生の作品は電子化されてるものならほぼコンプリートです。

この作品、特にどんな方に読んでもらいたいかなぁ〜と考えたんですが、BLの湾んの中で泳いでたけど、さあ!大海原に乗り込むぜ!オレは海賊王になる!という状態の方にオススメかなぁって。
あとは、BL読んで涙を一滴も流したくないと言う人以外にぜひ!!!

2

少し昔の日本

短編集でした。
深井結己さんがあとがきで書かれている通り、
少し昔の日本が舞台になっています。
どの作品も全て舞台は日本で、ノスタルジックな香りが漂う
1冊となりました。

   ◆◆   世界は光に満ちている   ◆◆

表題作です。
戦時中、肺を病んで、東京の帝大から故郷に戻ってきていた受け。
そんな時、近くの山に敵機のB29が墜落し、
たったひとり生き残った異国の男(攻め)が
大怪我をして、受けの家に押し入ってきます。

このまま放置すると、この男は死んでしまう……。
そう思った受けは、敵と知りながら治療を施します。
受けは英語を話すことができ、攻めとだんだんと心通わせていくシーンが
印象的でした。

しかし、肺を病み、もう春までもたないと言われていた受け。
もし自分が死んだとしても、村の者から敵の異国人である攻めを、
隠して生きられるように、手を尽くしていました。
受けの優しさ、攻めの優しさ、それらが通じあい、
2人は一線を越えます。
日本語で教えてもらった言葉「アイシテル」を繰り返し言う攻め。
切ないシーンでした。

しかし、運命は非情で、
攻めは脳の内出血のため、突然として亡くなってしまいます。
遺体を桜の木の下に埋める受け……。
そして、暫くの後、満開の桜の下で受けは息を引き取ります。

恋しいという気持ちで世界は光に満ちるのだという言葉を残して……。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

その他にもたくさんの作品が収められていました。

●象牙色の銀河…小説家を志し、上京した攻めと次のハレー彗星も
        一緒に見ようと約束した受けの話。

●上弦の月が沈んだら…亡くなった父親の愛人(受け)に
           恋をする攻めの話。

●契る花…ちょっとホラーチックな昔話。触手プレイが
     無理やり過ぎと思った作品。

●五月雨る抱擁…下宿管理人の受けに恋した大学生(攻め)の話。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

昭和初期~中期の話はどれも不思議な魅力に溢れていて、
惹きつけられました。
ただ、どれもページの制限があったのか、次々と出来事が起きて、
折角2人が心通わせるシーンも、なかなか詳細に書かれておらず、
残念でした。
くっつくのが早いんだよ! とか思った話もありました。
うーん、そこは残念。

3

レトロな一冊

 『世界は光に満ちている』

 病のため、医学を途中で断念した正之助と敵国の人間、ジョーイの話です。
 はじめは敵同士ということで信用していなかったジョーイですが、やがて正之助とその弟である幸作と打ち解けていきます。
 正之助には残された時間は少ない中、やがて二人には別れが訪れます。
 成長した幸作の元に、ジョーイからの贈り物が届きますが、彼がそこで思うことにぐっときました。

 『象牙色の銀河』

 楓とその兄の友人である禮次郎の話です。禮次郎は文学のために上京し、楓は家業の呉服店を守っていこうとした矢先に、詐欺に遭い、呉服店は人手に渡ってしまいます。
 最後に、楓は禮次郎に会おうと上京します。最後と覚悟を決めた楓と、その二人のやりとり、楓の会いたいという気持ちが切ないです。

 『上弦の月が沈んだら』

 父の命日に、航太郎は、かつての父の部下、天ヶ瀬と再会します。航太郎は、天ヶ瀬のことをかつては好きなおじさんとしか見ていなかったのに、やがて、恋愛対象として好きだと自覚します。
 父が亡くなる寸前、天ヶ瀬に伝えたことが、大人になった航太郎によって明かされます。
 長い時間を経ての「ゆるし」があるような気がして、萌えました。

 『契る花』

 継也と彼に仕える笹一の話です。継也は村のために桜の山の木に喰われてしまいます。やや生々しい描写もある中、笹一もやがて継也と同じ道をたどることになるようで、ちょっと悲しかったです。

 『五月雨る抱擁』

 五月寮の管理人糸屋と、学生の神沢の話です。大学生活に戸惑いを感じていた神沢も、優しい糸屋の援助もあり、大学に慣れます。神沢の父が倒れ、実家に戻ることを考える神沢ですが、彼にとっては、諸々の気持ちを整理する機会になったようです。
 すべてのお話が読み切りで、しっとり、切ないが詰まっております。

2

この作品が収納されている本棚

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