花芽と狼

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花芽と狼
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×22
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
5
得点
32
評価数
8
平均
4 / 5
神率
37.5%
著者
須和雪里 

作家さんの新作発表
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イラスト
紺野キタ 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
シリーズ
花芽と狼
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784883863754

あらすじ

時は平安のある冬の日。瑞調寺の阿闍梨・冬弦は修行僧時代に知り合った男、慈徳が連れてきた幼い子供を稚児として引き取った。子供は潤んだ大きな瞳を持ち、愛らしい顔立ちをしていたので、すぐに僧たちの人気者になった。しかし、子供がやってきてから、僧坊に妖しが出るようになる。冬弦は、子供が人に見えない銀灰色の妖狼を連れていることに気づくが…。愛と赦しを問いかけるピュア・ストーリー。

表題作花芽と狼

冬弦 僧 26歳
文殊丸 稚児 14歳

レビュー投稿数5

平安ファンタジー

受け攻めを冬弦×文殊丸にしましたが、実際の主人公は表紙に描かれている九歳の稚児花芽(瑠璃若)と狼です。
狼のウロは、普通の人の目には見えない、手に乗るほどの大きさですが、不思議な力を持っています。
その力で瑠璃若と瑠璃若が仕えている高僧冬弦、そして冬弦の思い人文殊丸はしばしば助けられます。
話自体はユーモラスに展開していきますが、ラストで孤児だった花芽の過去と、ウロ自身が忘れていた過去が明かされたとき、涙腺が決壊しました。
面白くて、優しくて、哀しい物語でした。
エロ度については「少なめ」にしましたが、実際そのシーンはほとんどありません。
でも本当にいい話でした。

0

天桃山奇譚

BL小説ではなく、文芸作品でもなく、古典の現代語訳を読んだような読後感の作品でした。エロ度は「少なめ」ですが「なし」でもいいような。あとがきによれば明確に1164年~1165年を想定して書かれているそうで、日本史の勉強をし直さないと…と思いました^^;

主人公は、寺稚児になるべく天桃山にある瑞調寺にやってきた愛らしい男の子・瑠璃若(花芽)と、瑠璃若に憑いている狼の妖・クロ、瑠璃若の師となる阿闍梨・冬弦の三人…かな?これに、もう一人の寺稚児である文殊丸を加えた四人を中心として、約一年間の喜怒哀楽の日々が描かれています。

四人にまつわるお話、寺に住まう僧侶たちのお話、史実に基づく当時の天皇家のお話など、様々な視点からの14のエピソードが収録されています。そのすべてに、愛すること、赦すこと、あるいは耐えることの大切さと難しさが盛り込まれていているように思いました。私はざっくり言えば仏教徒ですが大人になるまで意識して僧侶の説法を聴いたことがなく、そのため比叡山や高野山で束の間ながら体験した感動は今でも特別なものです。この小説を読んで、あの時の気持ちをしみじみ思い出しました。

瑠璃若や文殊丸だけでなく皆から尊敬され、愛されている冬弦のキャラクターが素晴らしいです。瑠璃若も文殊丸も可愛らしく、この世界観にもっと浸っていたいと思う作品でした。続編があるようなので読むのが楽しみです。

1

1冊に色々なお話がありました。

洞(ウロ)という狼の妖しと、妖しにとりつかれている少年・瑠璃若(時代が平安時代なので、色んな名前があります。タイトルの花芽も名前の一つですが、メインで使われているのは瑠璃若)のお話しです。
この子は、巡り廻って、殊王院の冬弦という僧の稚児になるんです。
瑠璃若は賢くて、いい子。現代には何故こういうイイ子が極少なんでしょうか、、、。
冬弦も皆から尊敬される僧なんです。決して驕らない。私もこうありたいものです。
普通、瑠璃若が冬弦の稚児になったら2人がくっつくものと思うじゃないですか!
それが違うんですねー(笑)
逆に(?)奥手な冬弦が、冬弦の唯一嫌いな僧の稚児を好きになってしまうんです。
そのキューピッド役になったのが瑠璃若。
冬弦の思い人、文殊丸も綺麗な稚児。
色々とありますが、冬弦の稚児になることができ、、、ますが、こいつら奥手同士で(笑)
そこで、円恵という僧が、いらぬおせっかいで色々教えるんですよ。それが唯一のBLっぽいところだったりもします。

他にも、ウロのお話しや、瑠璃若の過去、そして瑠璃若の父親の話、これらが繋がっていたときには驚きました。
清源の兄の話も、悲しくて泣けました。
一番泣いたのは、慈徳のお話ですね。もう、これは哀しかった。
説話集、です。

1

群像劇のようでした

須和先生の作品と出合ったのは、今は廃刊となってしまった「小説June」でした。「地球が海になる日まで」等の胸をギュッと掴まれるようなお話が多かったように思います。
“しばらく新刊が出ていないようだけど、まさか筆を折られたんじゃぁ…”と心配していた矢先の新作発表だったので、無事こうして読むことが出来て嬉しく思います^^

最初題名を見たときは、”まさか、獣姦モノとか?”と思ってしまいました。実際、手に取って読んでみると、表紙の男の子 瑠璃若と彼の保護者となった僧 冬弦との師弟愛を縦軸とした群像劇に感じました。
横軸として、2人にまつわる人々のエピソードで一章ずつ構成されています(もちろん、他のエピソードとリンクしています)。
その中には、冬弦と彼の寵童である文殊丸の話(お互いの想いが通じ合ってから、身も結ばれるまで)も数話に亘ってあるのですが、私としては冬弦の弟子 清源のエピソード『桃若丸』と冬弦の友人僧 慈徳坊のエピソード『慈徳坊』に心惹かれるものがありました。両方ともBL的要素はほとんどないのですが(強いて言えば、『桃若丸』に深読みすれば若干あると言えなくもない程度)、其々の事情に端を発する哀しみと後悔、それゆえの慈しみに思わず涙がジワ~ッと込み上げてきてしまいましたTT

全体的にラブシーンが少ないのが、ちょっと物足りないのですが(イチャ2シーンはそこそこあります)、攻め・受け共にハニカミ屋さんだから仕方ないのかなぁ~と。読んでるこっちが焦れてきますけど。その分、BLにあまり馴染みのない方でも読みやすいかもしれません(但し、円恵の出演シーンは除く)。

1

許しの物語

須和さんの新作きた!!
今度は私たちの心にどんなトラウマを植え付けてくれるのかと半ばワクワクしながら手にした一冊は予想外にほんわかした優しいお話で本当に驚いた。
なんて予想外。

寺院、稚児と聞いて「よいではないかよいではないか」な展開を想像していましたごめんなさい。

これは許しの物語だなあと。
大切な人を守りたいと思う気持ち。
それが高じて人を傷つけて、そこから始まる憎しみの連鎖と、開放。
主軸にそんな重いものを抱えながらも少しずつ描かれる彼らの日常はものすごくほのぼのしている。
乙女で泣き虫な坊さんの冬弦と文殊丸のいつまでも初々しすぎるカップルとか、まっすぐな瑠璃若とか、ツンデレなあやかしのウロとか。
みんなみんなほんとうにかわいいんだ。

西行法師のエピソードは切なかった。
これはいい和製フランケンシュタインだと思う。
あと清源さんの話も好きだったなあ。

BLレーベルから出ているけれど、別にBLではなく男同士のカップルもいるけれどそれは寺院という舞台設定上違和感がない。
主人公である瑠璃若がラスト近くまで傍観者だったのが印象に残っている。

うん。おもしろかったです。

0

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