忘れないでいてくれ

wasurenaidekure

忘れないでいてくれ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神55
  • 萌×237
  • 萌26
  • 中立5
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
29
得点
506
評価数
125
平均
4.1 / 5
神率
44%
著者
夜光花 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
朝南かつみ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
価格
¥855(税抜)  
ISBN
9784344817609

あらすじ

他人の記憶を除き、その記憶を消す能力を持つ守屋清涼は、客の女性の記憶を消したことを、刑事の秦野に咎められ――!?
出版社より

表題作忘れないでいてくれ

秦野道也,30歳くらい,捜査一課刑事
守屋清涼,29歳,他人の記憶を覗き消す能力をもつ

レビュー投稿数29

要素のバランスがよく、意外とあっさりした読み口

「犯罪者は地獄に落ちればいい、自分の力を使って私刑を下すことも厭わない」という考え方のもとに超能力を行使している清涼。
かたや秦野は、「いかなる犯罪者であっても法の下で裁かれるべき」という信念の持ち主。
犯罪によって心身を深く傷つけられた過去を持つ二人だが、犯罪者に対するそれぞれのスタンスは対極といっていいほどに異なっている。

ある事件を契機に出会った二人はこの食い違いによって事あるごとに反発し合うが、秦野のほうは清涼に愛情を感じており、恋人のように接する。清涼もまた素直になれないながらも秦野を受け容れ、気にかけていた。
ところがある日、清涼の封じ込められていた記憶を呼び覚ます出来事が起こり……。

というストーリーで、あらすじを書き起こすととても陰惨で重い感じですが、実際読んでみるとわりとライトな読後感です。
最初の山場である強姦もなんかするっと水に流されるし……清涼が豪快に流すんですがw

秦野の清涼に対する好き好き光線がわかりやすすぎてかわいいんです。ああ、清涼の言動に一喜一憂してるよっていうのが丸わかりで。そんな秦野に対して、「こいつがへこむ顔を見たくなったら"お前と付き合っているつもりはない"と言ってみよう」などと鬼畜な思考の清涼ですが、傍から見たらあなたも十分やられちゃってるよねっていう。無自覚ラブラブカップルの話です。

脇を固めるキャラクターも個性的で、彼らとのコミカルな応酬がともすれば暗くなりがちなストーリーの雰囲気を和らげています。重いテーマにも関わらず鬱っぽくないのはそのせいもあるかなと。
ちょくちょく主役二人に絡んでくる清涼の友人・塚本(ドレッドヘアに迷彩服、飄々とした性格の謎の金持ち)や、その彼女である黒薔薇(黒ずくめ、黒髪とヴェールで顔を隠し、唐突にベッドの下から現れる凄腕占い師)などなど。

個人的にはこの本で夜光花作品を揃え始めたほどの大当たりでした。
主役カップルでも脇役スピンオフでもいいんで、続編が読みたいです。
一つケチをつけるとすれば、ちょっとエロシーンが多すぎることかな……。ストーリーのテンポを若干損ねるレベルの多さでした。萌えたけど。

※暴力・流血シーンがあるので、苦手な方は注意したほうがいいと思います。

余談ですが、この本の挿絵を見て、朝南かつみはエロをあまり描かないイラストレーターなのかと思っていました。ので、剛しいらの『描くのは愛』の表紙を見て度肝を抜かれましたw

14

秀逸!

レビューを書くために軽く読み返すつもりが何度目かの再読になってしまったほど好きな作品です。夜光花さんの作品はいくつか拝見しましたが、この作品が一番好きです。

物語の主軸は主人公・清涼の特殊能力と彼の過去にまつわる事件ですが、登場人物のキャラクターがブレなく魅力的であることと、クライマックスに向かって少しずつ情報が明かされる展開+清涼と秦野の関係が深くなっていく過程が絶妙に絡み合って、暗すぎず、甘すぎず、ときどきクスっと笑える、バランスの良い作品になっています。エロは濃いめで、一冊で完結しているとは思えない読み応えです。

ドリーム満載、キラキラぴかぴか、美形の男しか出てこない、やたら容姿を賛美する描写が多い・・・そんなBL小説に辟易している方にぜひ読んでほしいです。

余談:この作品のCD化作品もオススメです。ブックレットに、その後の二人のショートストーリーが掲載されていますよ。

9

ラブと事件と脇役のバランスのよさ

他人の記憶を読んで消すことのできる受と、受に過去を暴かれて怒って強×してしまう刑事の攻。こんな始まりで大丈夫かなと思ったのですが、攻が直情径行というか素直で。やり直したいと言われ、その後はむしろ優しくて包容力のあるタイプ。照れたり喧嘩したり、あー攻の中ではつきあってるつもりなんだな、と読んでいてわかる。しつこくて甘くて独占欲いっぱいの攻。エロが多めなので、そこは早送り。毎回違うシチュで、かなり濃厚なので、恥ずかしいだけです。必然性はあると思います。

二人とも重い過去を持っていて、特に受の過去の事件の真相に迫る後半は、解決するのかギリギリまでハラハラしました。犯罪者は法律で裁く立場の攻から見れば、受のやっていること=彼らを破滅に追い込むことは認められない。でも、やっぱり受が心配で。攻の強さに惹かれるけど切り捨てようとする受のことを性格悪いとは思えません。

脇を飾る金持ちの戦争マニアと占い師がすごい変人で、重いだけの話にしていない。ラブと事件と脇役のバランスのよさが、すごくおもしろかった!と言える話になっています。
何度も読み返して、その度に好きになる作品です。

6

どんな記憶も自分の一部…

幼いころのトラウマを抱えているゲイの刑事秦野と人の記憶を探り消すことの出来る能力を持つ清涼のお話。
二人はそれぞれ少年時代に自分の身に起きたことがトラウマになっていてその後の人生に大きな影を落としています。
この二人の出会いはその呪縛から解かれる為の「運命」…

清涼は人の記憶を消す商売をしており、その依頼者がきっかけで刑事の秦野と出会います。
いけ好かない刑事だと秦野の記憶を探って煽ってしまったために、清涼は秦野から刑事だったらなおさらありえない行為を受けます。
ホント、ありえないよ。刑事なのに!

それで、この先一体どんな展開に?と心配と期待感を冒頭から煽られましたw
ところがその後も良い意味で予想を裏切りえっ?!そんな展開なの的な連続で読み手を楽しませてくれます。

清涼は自分の能力を活かして事件への協力をしていくのですが、その中である日思いがけないことが起こります。
清涼の少年時代に起きた忘れもしない事件。
両親を殺され自分も重症を負います。その犯人を忘れずにいました。
ただその記憶を持っているのは辛く犯人と再び出会うまでは思い出さない暗示をある人物にかけてもらっていたのですが、その暗示が解けたのです。
(このある人物がスピンオフ「サクラ咲ク」の花吹雪先輩)
復讐のために大きく動き出します。
事件は時効を迎えているため犯人を追い詰める方針で二人は対立し、清涼は危険な賭けにでますが…

清涼は過去の辛い記憶を封印していましたが、反対に秦野はその嫌な記憶が自分の一部だからと清涼が消してあげようかと問いかけた時に断ります。
その違いが逆に二人を結びつけることになり、そして、お互が特別な存在となっていくのです。
その過程がいくつかの事件と絡んで上手く調理されていると思います。

事件解決後、二人とも過去の辛い経験をきれいさっぱり忘れることは出来ないけれど、頼れる相手と一緒にいることで癒されるその幸福感。
二人と共に味わうことが出来マス。

6

トラウマを昇華させていける二人の出会い

イラスト買いです。

トラウマ持ちの刑事と人の記憶の映像が見える精神科医ふうのワケあり青年

自分が子供の頃父親から性的虐待を受けていたという刑事が、その記憶を覗かれて怒りで我を忘れて同じ思いをしてみろとレイプするという部分がどうも納得できなくて長らく読む気になれなかった作品です。
でも朝南さんのイラストが見たくて恐る恐る手に取りました。確かにその辺は引っかかりはしても、事後の清涼があっさりしてたこととその後の刑事の猛反省に免じて許したくなりました。

うまいなあと思うのが、サスペンス調の作品の場合大抵先の読める2時間ドラマ風の筋書きでもLOVEの部分が素敵ならまあこの辺は二の次というかあまり重きをおいていないので気にならないのですが、この作品はその部分がしっかり描かれ偶然の出会いや事象がそんな都合よく…と思わせないところです。

癖のある登場人物が多いです。
清涼の友人で資産家御曹司 塚本や占い師の黒薔薇や名前だけの登場ですが重要な役まわりだった花吹雪先輩。
もっと知りたいなと思う面白そうな背景がありそうで惹かれます。
そんな中でも不思議な魅力がありそうな花吹雪先輩が主役の「サクラ咲ク」も読んでみたくなりました。悲しいことにイラストはないのですが。

主役ではない二人だけがカラー扉を飾るのはとても珍しいことだと思います。彩服の塚本と占い師の黒薔薇があやしげです。
女装した主役かと思いましたが、最後まで読むとその存在感になるほどここにイラストがあるわけが納得です。

5

忘れられるわけがない!

朝南かつみ先生が挿絵を手がけた本の中でも
一、二を争うくらい好きなこちらの表紙。
切ないドラマを予感させる表情、構図の美しさに
ただただ見惚れてしまいます。

内容はというと、
シリアスな特殊能力系サスペンスでありながら
個性豊かな主人公たちの言動にクスッと笑える部分もあり
端的に言うと「すごく面白い!」作品です。


人の記憶が見える能力を生かし、
依頼人の記憶を消す仕事をしている清涼。
幼い頃両親を何者かに殺された彼は
刑事・秦野とセフレとも恋人ともつかない関係を築きつつ
両親を殺した犯人を突き止めていく…。


皮肉屋で寂しがり屋な清涼と
ヘタレのくせに押しの強い秦野がいいコンビです。

清涼は、挿絵効果もあって冷悧な美貌がカッコよすぎ♪
秦野に強姦されても、記憶を覗いた自分も悪かったと
サラリと許してしまえるさっぱりした性格が好きです。
それでいて、過去のトラウマに怯える臆病な一面も。
犯人とおぼしき人物に復讐を誓うも
実際近づいたらビビって何もできず
逃げ帰りヤケ酒を煽りまくる一連のシーンには
思わず笑ってしまいましたww

シリアスな題材にこうして不意に挟まれるコメディパートが
軽重バランスの取れた絶妙な面白さを生み出しています。


秦野は、強姦の負い目から低姿勢を貫くのかと思いきや
ヘタレな物腰をタテに
どんどん清涼の領域に踏み込んでいくあたり
意外と策士かもしれません!
清涼の嫌がることはしないと言いつつ
常に臨戦態勢だし、一回一回がムダに長いしw

でも、清涼のようなツンデレには
このくらいまっすぐに愛情をぶつけてくれる相手が
よく似合うと思います。

過去を忘れるのではなく、自分の一部として受け止めようと
答えを出す二人が良かった。
清涼は一度心を許した相手にはかなりデレデレになるんじゃないかな~と思わせる甘いラストも素敵でした♪


清涼の親友・塚本もすごく好きなキャラです。
胡散臭いファッション、胡散臭い商売、胡散臭い彼女w
(黒薔薇さん、出番は少ないけど強烈なキャラでした~)
でも中身はすこぶる常識人で友達思い。
酔っぱらい清涼を介抱して、ありとあらゆる野菜を煮込んだトマトスープまで作ってくれちゃう。
いいなぁ、こんな友達が欲しいw

『サクラ咲ク』の花吹雪先輩や怜士も含め、
このシリーズの登場人物は皆、個性や人間味が本当に素敵。
全員一風変わっていて、いつも一緒にいるわけではないけど、誰かが困ったときは必ず駆けつける。
そんな友人関係が好きです。

またどこかで彼らの話が読みたいなぁ。
挿絵もストーリーも、大変印象深い作品の一つです。
ぜひ塚本メインで一本!(この際非BLでも可w)

10

ココナッツ

Krovopizzaさま

こんにちは!
楽しくレビュー読ませていただきました(*^^*)
やー、本当に清涼は男前でキャラ立ちしてますよね。
インパクトの強いキャラが作中多い中で、突飛でもない(まあ、能力は突飛ですが)のに霞みませんものね。
こんな清涼にはおっしゃるように秦野のような男はピッタリですね。

しかし、Krovopizzaさまのレビューであらためて自分のレビュー見たらヤバイですね。
この頃のわたしのネタバレライン低過ぎだわ…
あらすじに書かれているのはバラして問題ないと思ってますね…こちらも直したいです(p_-)

身も心も男前

ネタバレなしで書きます。
スピンオフの『サクラ咲ク』が読みたくて、こちらを購入しました。

受けの清涼は他人の記憶を見、それを消す能力を有し、自分自身の復讐のためにこの能力を商売にして、ある人物を探し続けています。
口が悪く奔放です。「キモイ」とか言っちゃう受けって笑えます。

攻めは刑事の秦野。
秦野自身も過去にトラウマがあり、それを抱えながら生きています。
生真面目で、当たり前ですが罪は法が裁くと信じている。

秦野は自分が探り続けていた事件の目撃者の女性の記憶を消したとして、清涼の元へ抗議に訪れます。
清涼は仕事だと悪びれず、当てつけのように盗み見た秦野の過去を口にしたことで乱暴されてしまうのですね。
まあ、根が真面目な秦野ですからこの時の行動を恥じて謝罪するのですが…カッとしたからってねえ…(苦笑

大型ワンコ的な秦野に対し、清涼はかなり男前受けなのでこんなことをされてもそれこそ犬に噛まれた程度に流してしまいます。
清涼にはそんなことよりも優先させるものがあるし、もっと悲惨なことを目の当たりにしてきて、さらに男前な上に過激思想なのでそういう態度になるのかなと思います。
秦野はそんな清涼とはかなり対局な思考の持ち主で、正義に対する考え方も真逆ですが、だからこそ惹かれたのかな。
ふたりの抱える過去は暗いけれど、話が暗くなりすぎず読みやすいのは、ふたりが男らしいからでしょうか。

余談ですが、この作品は脇キャラも個性的。
清涼の知人で不動産を多数持つ変人の塚本(でも思考回路は一番マトモかも)、塚本の恋人(?)の黒薔薇、そして『サクラ咲ク』で本格登場の花吹雪先輩。
こういう清涼剤的な人物が登場することも、清涼の突日な設定を緩和させ違和感をなくしているのかもしれませんね。

7

Krovopizza

ココナッツさま

この作品は攻め受けともに男らしいのが良いですよね。
「キモイ」とか「どんな羞恥プレイだよ」とか、
私も清涼の口の悪さにはかなり笑ってしまいましたw

ココナッツさんは『サクラ咲ク』を読みたくて
前作のこちらを購入されたのですね~
私は本書は結構前に読んでいたのですが、
『サクラ咲ク』は読むタイミングを逃していました。

両方読むと、清涼の変化や花吹雪先輩の魔法使いっぷりなど色々分かって楽しいですね☆

攻め受けとも好きだった

朝南先生の挿絵が見たくて購入。攻め受けとも好きなタイプで良かったので萌2にしました。受けが異能持ちな部分、ちょっとファンタジー要素ありですが、新宿あたりにいそうなカプに感じるお話、本編250Pほど。ツンツンは好きだ。

都心から少し離れたビルの2階で怪しげなクリニックを営んでいる清涼(せいりょう)。医師免許を持っているわけではないので口コミだけですがそこそこの稼ぎ。「接触したところから記憶を読み取れる」という異能で得られた情報に催眠術をプラスして、「忘れたい記憶を消す」という施術なのですが、内容が内容なだけにそれなりの金額を得ることが出来るのです。ある日施術した女性に関して警察が問合せにやってきて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
塚本(ドレッドヘアに迷彩服を着る自由人、清涼の面倒を見ている)、黒薔薇さん(塚本の彼女、占い師)、北野(塚本の経営する店の従業員、コーヒーが美味い)、麻奈(患者)、一色(警察関係者の息子)、羽根田(事件の容疑者)、幸田(攻めの先輩刑事)、幸田の弟ぐらいかな。
あと花吹雪先輩(スピンオフ「サクラ咲ク」の方)が伝聞形式で出てきました。

**好きだったところ

受けがツン。攻めがヘタレわんこ。このカップリング大好き!
そもそもゲイじゃなくって、レイプから始まって、甘い雰囲気なんて微塵も感じられなくって、けんもほろろという状態なのに、なぜか詫びにケーキと花束持って「耳シッポたらしてしょんぼりお座り待て」をしているヘタレ攻めを見ると家に入れているというところがもう超好き。しかも薔薇の花束だよ?
たまらん。

へたれわんこさん、素直で、早々に「顔が好き」ってカミングアウトしてるんですが、その後はなかなか関係性に名前を付けない。後の方に「言うと逃げられると思って・・」と言わなかった事をカミングアウトするところもめっちゃ好き。

受けさんがぷっつん切れて色々やらかすところも「心配なんだ」と攻めが正直に言ってくれるから、とってもほっとします。

ツンとわんこの関係性がとても良かったお話でした。

そして何より挿絵。カラー口絵は最初見た時、ダレこれ?と思いましたが、塚本と黒薔薇さんでした。
サブキャラではありますが、塚本さんすごく好きでした。そして超スタイリッシュな黒薔薇さん。またどこかで会いたいわ・・と思う印象的なキャラですが、もう朝南先生の挿絵では会えないんだと思うと、永遠にこの姿で記憶に留めるのがいいかもしれないと思いなおしました。朝南先生大好き。

4

あーちゃん2016

はい、見るたびに泣いちゃいますね
朝南先生の挿絵を見るたびに、ああぁぁぁ…………とどうにもしようがない想いに捕らわれます。私はなんでもっと早くにこの沼にハマらなかったのかと、本当に残念です………

fandesu

レビューを読んで、書店に並べられた『サクラ咲ク』が目に入った時、本当に悲しかったのを思い出しました。
私も朝南さん、大好きでした。

プチオカルト+サスペンス+エロ+恋愛

夜光花さんといえば、オカルト風味やサスペンス調とエロとの融合という作風で定評があると思うのですが、今作も、中学生の時に両親を殺されたという究極の体験をした後、人や物に触れるとその記憶が視える、という特殊能力が芽生えた男が主人公です。
主人公の清涼はその能力を使って、違法スレスレの記憶操作(というか催眠術)のクリニックをやっていて、そこで婦女暴行事件を追っている刑事の秦野(ゲイ)と出会います。
清涼は両親を殺した犯人に復讐しようとしていて、正義漢の秦野とぶつかりますが、犯人の正体がわかる過程や、止める秦野を出し抜いて1人で乗り込んでいく清涼の描写は、かなりの緊迫感があってサスペンス。
推理物や刑事ドラマとか好きな方にもおすすめ。
恋愛面では、秦野x清涼のケンカップル。
清涼がいつも突っかかるのですぐ言い合いになるんだけど、秦野の方は実は大甘野郎で、愛の言葉での表現もキスも愛撫も、常にネチっこくてしつこくて甘い!
で、私はそんな秦野の愛し方、結構好きなんだよなぁ。
危なっかしい清涼をとっても心配する秦野。その深さに観念して?デレを発動しはじめる清涼。
ラストシーンは読んでて恥ずかしいくらい甘々〜です。
トラウマ持ちの2人、全てを忘れることはできないけど、自分が今満たされれば物事の感じ方が変わる。そんなテーマなのかな。「忘れないでいてくれ」っていうタイトルも意味深。誰が誰に言ってるんだろう?と考えさせられます。

3

人の記憶とは

他人の記憶を視れる能力を持つ守屋と、彼に惹かれた刑事の秦野が主人公のお話です。
先生お得意のサスペンス作品で、話の展開もさることながらそれぞれのキャラクターの人物描写も上手でした。

例えば、守屋と秦野はどちらも犯罪を嫌っていても、守屋は「犯罪者は私刑でもいいから懲らしめるべき」、秦野は「犯罪者は法によりきちんとした刑を課すべき」と相反するスタンスなんですが、これがある意味最後までぶれないんです。
正直、守屋の過去から言えば、この犯罪者に対する考え方は(良いか悪いかは別として)納得出来るものだし、その考え方を秦野と出会ってすぐ変えるのは無理があると思っていたので、終盤、悩み迷いつつも守屋がああいう行動に出てしまったのは、最後まで守屋という人物がしっかり形作られていて感情移入しやすかったです。

一つ気になったのが、守屋に対する秦野のあの無理矢理シーン。
別にあれ自体目を背けたくなるくらい酷いとかではないんですが、(何せ、守屋はサラっと流しているし)「虐待の連鎖」を彷彿してしまって少し悲しくなりました。
考えなしに引き金を引いてしまったのは守屋なので、秦野だけが悪い訳ではないんですが・・、個人的には秦野は決して弱いわけではないけれど、「乗り越えられる強さを持っている」というと、まだ克服の途中の段階かなぁと思いました。

うーん、どうも夜光花先生の作品は人物にのめり込み、読後も色々考えさせられてしまいますね。
今度機会を見つけて、「サクラ咲ク」も読んでみたいと思います。

2

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