海をわたるトンボ

海をわたるトンボ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×20
  • 萌1
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
14
評価数
4
平均
3.8 / 5
神率
50%
著者
たけうちりうと 

作家さんの新作発表
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イラスト
ビリー高橋 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
発売日
価格
¥437(税抜)  
ISBN
9784062551977

あらすじ

「へーちゃん、大好きだ」嬉しそうに叫んで、背中に飛び乗ってきたトモ君。そのまま彼をオンブして、僕はグラウンドを走り始めた。柔らかい日差し、ポプラ並木の枯れ葉色。頬にあたる風、背中のトモ君の温もり。すごく嬉しかった。すごく楽しかった。―僕らの宝物のような日々。でも、これは永遠には続かないんだ。“卒業”の日は、誰にでも必ずくるんだよ―。

表題作海をわたるトンボ

板東平・19歳・高校3年
岡田友樹・高校1年

その他の収録作品

  • アリストテレスの孫クラブ
  • 五十点の真実
  • ユーカリの木の下で
  • インフルエンザ・シンドローム
  • 夜の虹・泳ぐ鳥
  • ユリイカ
  • 海をわたるトンボ
  • あとがき

レビュー投稿数3

温故知新のたけうちワールド。

レーベルの性格上かもしれませんが、ホワイトハート大賞受賞作でデビューした先生の初期作品群、特に挿絵をビリー高橋先生がご担当されていたものは、一概にBLとは呼び難いのかもしれません。わたしはこの頃のお話がとても好きで、一つ一つ作品を読み終えるたびに心が洗われる思いがしました。その読後感は媒体は違えど大島弓子作品のものに近いんです。(わたしの中で、ですけど。)80年代後半頃の少女漫画ちっくなビリー高橋先生の優しい絵柄が、あったかくって懐かしい。

ビリー高橋先生とタッグを組んだ作品の中では、優劣つけがたい中でこれが一番のお気に入り、になるのかな。。矛盾するようですが、一応BLなんだけどBLには至らない、というわたしの理想の関係性を描いたもので、ずっとこういうお話を読みたいと思ってたんですよね。求めていたものが未来ではなく過去に存在するとは…。やはり自分の萌えは時代錯誤だわとダメ押しされた感じです(苦)

主人公は高校三年生の平(たいら)。留年経験があるため同級生より一つ年上です。彼は本当に昔の少女漫画に出てくる大人の兄さんというか、老成した青年キャラといった感じで、彼の視点から見た世界観を語ったお話なのに、なぜか乙女心の共感を呼ぶのです。不思議。

高校で超自然現象研究同好会を立ち上げた平。部活動でコックリさんをやっている最中、女子部員の美弥に異変が起こるシーンから物語は始まります。美弥を暗示から回復させるべく、平、元クラスメイトで生徒会書記の達也、達也の金魚のフンのトモの三人が協力して共に行動しているうちに、トモが美弥に好意を寄せていることが明るみに。

美弥と親友の平は、美弥きっかけでトモと意気投合します。この二人の関係が言葉では言い表せない微妙なもので、かつ物語の核心です。「友情」と「同情」とはどこがどう違うのか、平が父親に相談するシーンにメチャメチャ切なくなったわたしは、もしかしたら「同情」が友情の方向ではなく、恋や愛情に傾いていくボーダーラインに萌えているのかも、と気づきました。さらに父親の「一生かけて自分で試せ」という回答にくぅぅぅッ…(←言葉にできない)。

平に男気を感じたのは、トモのことを思って友情のラインを越えず、自分の気持ちにカタをつけるところ。本来、BLならば無理に越えてしまうんでしょうけどね。おそらくこれは高校生のお話だから受け入れられる結末であり、だからこそ、まだ余白を残された美しい青春の一ページとして鑑賞できたのだと思います。

本作のテーマソングであろう、ブライアン・アダムスの"Do I Have To Say The Words?"を流すラストシーンの演出に、わたしは泣きました。デビュー作で使われたTears For Fearsしかり、先生の音楽のチョイスにピンとくる世代、さらに音楽の好みが一緒でしたら、たけうち初期作品の良さをわかっていただけるのではないのかな、と思います。

3

青春小説

やはりこの頃のたけうちさん作品はやはりBL小説というより「青春小説」が基本だと思うんですよね。
BL匂いはあるけど青春小説として読む方がすっきり読める気がします。
今回も章ごとのカットはいわもと葉月さんで、作中のイラストはビリー高橋さんで、いわもとさんのカットが特にその青春小説らしさを印象付けてます。

主役のへーちゃんこと平の視点で語られるのですが、彼は1年心臓が悪く休んでいた事もあってか元々の性格なのか、ちと若年寄臭いです。
寒い駄洒落も連発するので、この辺のノリと文体に好き嫌いがありそうな気はしますな~。
彼は不可思議な現象が大好きで同好会を主催しています。
そのサークルに所属しているのが美弥という保健室登校の女の子で、彼女と平は恋愛感情抜きの友情関係にあります。
平の友人、達也とその従兄弟であり義弟であるトモこと友樹。
このトモが平にとって次第に大きな存在となって行くのですが、それは高校時代の青春の1ページで終るのかもしれないし、数年後平の隣にトモがいるのかもしれない、それは読み手側へと託されます。
タイトルが少々変っていますが、それは作品内容と大きく関わっていてそしてラストの清々しさにも繋がっています。
繰り返しになっちゃいますが青春小説でBL要素は匂い程度に思って読んだ方が楽しめるんじゃないでしょうか。

1

恋愛未満の高校生

んー、
たけうちりうとさん、私には合わないのかも知れないです…。
いいお話だなと思ったんですが、心の琴線に引っかかってくれなかった。
でも、合う人にとったらきゅーんときまくりの小説だと思う。
エキセントリック気味な高校生の、掴みどころのない恋愛未満のモヤモヤした感情を、独特のニュアンスのある文体で描きあげていました。
弾けるような痛いような青春時代のエピソードが積み上げられています。
でも、薄皮一枚の隔てを感じてしまった。キレイすぎて、現実感が足りないっていうか。それが狙いなんだと思いますが、私にはもどかしかった。

ただ、ラスト一行はめちゃくちゃ良かったです。
あっさりした書き方に、心がツキン。ほろ苦さと甘さの両方を感じました。

1

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