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アイルの料理に秘められた治癒の力が、多くのグジナウ国の人々の心と身体を癒していくことを期待したい2巻。ゼスとの遠距離恋愛を余儀なくされてしまい、恋愛と仕事の「仕事」の方をちょっとだけ優先してしまったアイルですが、おおっと。
恋愛と仕事をどちらもとる選択肢があったとは。…というか、無理やり作ってしまったと言った方がしっくりくるのかな^ ^
ゼスよ……さすがは騎士団長。英雄と言われるだけのことはある。
とにかく行動力がすんごい。あと、番犬っぷりがコワイコワイ(笑)
アイルの身の安全(恋人同士の時間を確保したいともいう 笑)を何よりも優先したいゼスの心配と、治癒料理に時間をたくさん費やしたいアイルの使命感がうまいこと噛み合わないことも多いですが、何となくどちらかかが折れて何となく甘い雰囲気に持っていく2人の恋人模様にニンマリ^ ^
すれ違ったり喧嘩したりとかはなく、異国の地でもゆっくりと愛を育んでいきます。
アイルへの愛の重さをたくさん見せつけてくれるゼス。よからぬ虫除けのため、アイルに害を為す者を蹴散らすため、番犬としての牽制力が凄まじいです。
ゼス :早くラール国(2人の母国)に帰ろう
アイル:まだ困っている人がいる → 帰れない
ずっとこのやりとりです(笑)
アイルの料理への探究心は感心しますが、料理のこととなると周りが見えなくて少し危なっかしい。それをゼスがヤキモキしながらお世話してるって感じで、これ…ゼスがいなかったらどうなってたんだろうとヒヤヒヤしました。
料理や人々の治癒に打ち込むアイルの頑張りは素晴らしいですが、身体が限界を超えてもなお無理をする恋人の仕事っぷりに不安になるゼスの気持ちも分かります。アイルの行動は一見するとやりがいの搾取のようにも見えてしまうし、アイルに希望を見出して連れてきたグジナウの宰相……アイルの能力に活路を見出す前に、暗躍する自分の国のアホ侯爵をどうにかしなはれ。王もなんだか国の危機を感じてないし、グジナウのツケをアイルに取らせるとは、ううむ…けしからん。
それに。
アイル自身の身体を心配するのは、ゼスだけなんですよね。アイルは人々の傷を癒せても、アイルは自分自身の身体を癒せない。治癒師とは言えども、治す力に限界はあるし、そこまでのスーパーマンでもありません。
愛する恋人がグジナウの問題に巻き込まれていくのを見てられないゼスが必要以上に怖い番犬になるのも納得かな。アイルの協力者や味方まで牽制するのもやり過ぎですが、そんなゼスの行動から彼がアイルをどれだけ愛しているかの証明にもなっていますので、騎士団長の溺愛っぷりを隅々までご賞味頂ければと思います♪
「医食同源」の精神をファンタジーに落とし込んだようなストーリーは、料理の温かさだけでなく人々の心の温かさまにまで触れた癒しの物語でした。
治癒師として扱われたアイルだけど、やはりアイルは料理人。治癒師ではなく、料理人として美味しい食事で多くの人たちを癒してくれるでしょう。
帰国後は料理人としての腕を磨きながらゼスと共に同じ未来を歩んでいって欲しいなと思います^ ^