ぱるりろん
itoshii anata

J.GARDEN58の特設ジャンル「メリーバッドエンド」に合わせて描かれた作品。
A5サイズ、36ページ。オメガバース設定あり。
メリバということを意識して構えて読み始めたのですが、辺境の地で出会った運命の番の最後の夜のお話で、頽廃的で美しい世界観でした。
寂れた最果ての地に建つモーテルに、シティからバイクでやってきたネイサンは、弱いながらもΩのフェロモンを嗅ぎ取ります。そこには一人で発情期を耐えて、一週間何も食べずに半分死にかけのルカが倒れており、ネイサンは自分の血をルカに飲ませる、というところから始まるお話です。
ものすごく作り込まれている作品で、最後まで読んでもう一度最初に戻ると、いくつもの証跡を発見できます。
36ページというページ数の中で二人の特別な一夜を描き、また、二人の来し方を盛り込んで立体的にすることで、読後この先どうなるのか思いを馳せることができる、素晴らしい作品と思います。
表紙のネイサンが、幻影のような、古い写真のような色味と線で描き出され、大変印象的です。もしかしたら、本編の後、ルカの胸の中で生き続ける残像かもしれない、とも思いました。
『完熟セックスフレンド』でその素晴らしさに震えたのが記憶に新しい
りーるー先生。
秋庭(J庭58)、特設ジャンル「メリバ」に合わせ頒布された
こちらの一作に、心撃ち抜かれました...
文句なし、の「神」評価、星5つじゃ全然足りない...!という気持ち。
イベントから約2週間経ちますが、何度も何度も読み返しては
反芻しています。
ジャンル名どおり「メリバ」ではあるので読み手を選ぶとは思うのですが、
ぜひ沢山の方に手に取っていただきたい…という思い。
(現在、BOOTHにて電子版pdfが先行配信されています。
その他電子書店でも後日配信されるようです)
※直接的な描写ではありませんが、カニバあります。
以下、内容に触れながらのレビューとなります。
未読の方、ご注意ください。
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とある寂れた世界の果て、αとΩが過ごした「最期の日」のお話。
あるモーテルにαのネイサン(攻)が辿り着き、
そこで弱りきったΩ・ルカ(受)と出会うところから物語が始まります。
ルカを見つけたネイサンは目を輝かせて駆け寄り、
自らの血を分け与えます。
それが「血」であることは認識せずに、美味しそうに啜るルカ…
そしてネイサンに甲斐甲斐しく世話をされ綺麗にされたルカは、
ネイサンに誘われるままに彼と体を繋げるのですがー
と続きます。
暗黒街のボスの99人いる番のうち、序列の中で底辺だったルカ(Ω・受)。
しかしボスにフェロモンを気に入られていたことから
他の番からの嫉妬を受け、襲われたところを返り討ちにして
命からがら逃亡してきたところだった。
そして明かされる、ネイサンの正体と二人の特別な繋がりー
で!
ここでハッ!!としたのが、受けである”ルカ”のその名前。
ルカ=LUCAとは、「地球上に存在する全ての生命体の祖先」とされる
微生物なのですよね。。
や、気付いて震えてしまう。。((((;゚Д゚)))))))
そして、そのfate(運命)の番であるネイサン。
実はfate遺伝子の研究者でもあったネイサンが、ルカに告げた
衝撃的な一言、その後に起こった出来事とは…
翌日、モーテルの部屋から一人で出てきたルカ。
その長く伸びた髪、見違えるように力を漲らせた姿...
全ての「祖」であり「母」であるルカが向かう先はどこなのか、
宿した命が、これから一体どうなってゆくのか...
読み終えてもその余韻に浸り、思いを巡らせてしまいます。
レビュータイトルどおり、りーるー先生の底力を感じ、
興奮で心震える一作でした。
こちらを読んで、『完熟セックスフレンド』に戻って、
またこちらを読んで…という止まらない「りーるー先生ループ」。
この週末、先生の世界観にひたひたに浸ろう!と思います。
★修正:tn細黒短冊3〜4本(紙同人誌)
形も血管もしっかり分かる修正です!
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