「卑怯ですね」 「君より大人だからね――ごめんね」

フリップ・フリップ・スローリー

flip flip slowry

フリップ・フリップ・スローリー
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神46
  • 萌×224
  • 萌11
  • 中立2
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
21
得点
361
評価数
83
平均
4.4 / 5
神率
55.4%
著者
オオタコマメ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
一迅社
レーベル
gateauコミックス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784758024679

あらすじ

「なんと読むのだろう」それがきっかけ――。

閉塞的で目新しい物もない田舎町。
図書館に訪れた、人目を惹く静かな男。
司書の萩原は、自ずとその男を目で追い、彼が本棚の端から順番に本を借りているという法則に気づく。
きっかけは些細で、けれど確かな興味だった。
次第に几帳面に見える男・八月一日の素を知ることになり――。

オオタコマメの紡ぐ、センシティブラブストーリーが一冊に。

【描き下ろし15Pあり】

表題作フリップ・フリップ・スローリー

萩原 康太,23歳,図書館司書(補)
八月一日 尋一,34歳,文化人類学非常勤講師

その他の収録作品

  • 書き下ろし

レビュー投稿数21

しっとりと進む雰囲気が最高

プレイアフターコールがすごく良かったのでこちらの作品も。

まずもう作品全体のしっとりした感じがすごく良かったです。謎めいて見えて悲しみを抱えていて抜けているお茶目なところもあるけど一線を越えさせない八月一日。彼を包む空気ごとどこか物悲しくて哀愁を帯びていて、それが作品にも伝播している感じ。そんな雰囲気を打破するような萩原の真っ直ぐで素直な人柄もすごく良かった…正直者で真面目な感じだけどうるさくなくて不躾に踏み込みすぎたりしないけど八月一日が守ろうとする一線を越えようと行動はしてくれる。そんな2人の人柄で全体的に静かだけどちゃんと動きのある1冊になっています。

そして個人的にドライブの描写がとても良かった〜!ドライブってぶっちゃけ何が楽しいんだろうと思っていたのですが、この過ごし方めちゃめちゃ贅沢だ…これはちょっとドライブ憧れちゃいます。景色の描写も車内の描写もすごく良かったです。

静かな時間にしっとりと読むのにすごくいい1冊です。

0

濃密でも自然に流れていくストーリーの心地よさ


一冊の長さの話を、
まるで短編の一編を読んだように
濃密で、さり気なく、読み終わった後に
爽やかな読後感を味わえる話は
とてもいい話なんだと思う。

全然、知らなくて
たまたま他の方がレビューしているのを
読んだのをきっかけで初読みしたんですけど

伝言ゲームのように、私もとても良かった
おすすめしたい一冊になりました。

なぜか目が追ってしまう、離せない人
その理由を、自分も、そして相手にも伝わっていた。
とても、ロマンチックで
図書館の静かな場所、ドライブする2人
本と海を眺めながら、向けられる熱
そういったひとつひとつがキラキラして
とても綺麗なんです。
個人的に、まつ毛フェチなので
先生の描く繊細なまつ毛もツボに入りました。

大人の素敵な恋
こんなはじまりかたもある、っていうのが魅力ですよね。
ラスト、描き下ろしも2人のこれからに
思いを馳せる余韻が、自分でもしっとりとした気持ちになって、とても良かったです。

1

優しいお話

図書館の司書である萩原が利用者の八月一日と出会うところから始まります。

司書と利用者という関係から少しずつお互いを知り、休日にドライブに行くまでになります。
萩原からの好意に気付き先手を打つズルい八月一日でしたが、萩原は八月一日を諦めず、徐々に八月一日が萩原に絆されていくところにじんわりと萌えていく優しいお話でした。

描き下ろしは初夜でしたが、修正が入る描写はありません。
初めての萩原を八月一日がリードしていく展開が良かったです…!

0

映画を見ているようでした

穏やかで静謐な、独特の空気感を感じます。映画を見ているみたいでした。

図書館に勤務する萩原は、最近図書館を利用するようになったばかりの八月一日(やぶみ)と親しくなる。
最初は図書館のカウンター越しに話すだけだったのが、休みの日に会ってドライブするようになる。
東京で大学の非常勤講師を務める八月一日は、セクシャリティが原因で折り合いの悪かった父を亡くしてから一年、どこにも行けず、戻れず進めず、小休止を決め込んでいる大人。
萩原は彼にどうしようもなく惹かれ、自分との違いを噛みしめながら、寄り添いたいと願う。というお話。

10歳以上年齢が下の萩原が、自分に足りないものを意識しつつ、傷つきながら果敢に言い寄るのが清々しいです。
画面の美しさにもうっとりします。
顔がアップの大ゴマがとても多いのですが、美しいので見とれてしまいます。目の表情がすごく良いです。
心情変化を丁寧に追っているので、最初、大人らしくスマートに躱した八月一日が、どのように萩原に心引かれていったのか伝わってきます。
それこそ萩原が不器用でありつつ、気づけばするりと心の中に入ってきていたのだと。
大人の振りで結構揺れていたことなど、第5話で答え合わせが出来てよかったです。

0

ドライブは人を雄弁にさせる

 萌えたかどうかでいうと、攻め受け2人の組み合わせが好みから外れていてあまりハマれなかったというのが正直なところなのですが、ストーリー展開や台詞についてはとても良質な作品でした。萩原の働く図書館と、彼の運転する車の中でほとんど完結していて閉じられた雰囲気があるのですが、憂鬱な閉塞感というよりは、最初からどこか明るい光も感じるような、落ち着いた明るい空気感が漂っていて心地良かったです。

 相手が貴重な同類である、という仲間意識と恋愛的好意の境界を見極めるのって確かに難しいよなとか、ノンケだろうとゲイだろうと16歳でセックスが怖いのは確かに当たり前だとか、改めて気付かされることもあり。萌えは度外視して、BL読者として読んで良かったなと思える作品でした。

2

文芸系雰囲気系

おだやかでちょっとセンチメンタルな大人ラブでした。
司書さんと大学の先生、そこはかとなく文芸のかほり…。
どこが舞台なんだろ~~?ってモデルになっている場所があったら巡礼してみたくなるくらい情景描写が素晴らしかったです。
んでもって、デジタルツールがほとんど登場しなくて、対話を重ねてじわじわと距離をつめていく司書さんと先生の間に、ゆったりと静かで濃密な時間が流れるのです。

初デート?、ドライブし海辺に車を止めて読書するっていう場面がめちゃエモ!!煩わしい日常から束の間エスケープするふたりが、同じ行為を通して交流してリラックスしてる雰囲気がとても伝わってくるんです。

年の差(23と34)だけど、そんなに開きを感じないくらい司書男子が落ち着いてて大人っぽいんですよね。年上先生のほうが危うさ(訳あり感)があって、またそれが色気なんですけど、なんだかいいバランスのふたりです。きっと読み返したくなるだろうなという独特の雰囲気があります。
本を携えて、どこか遠くにドライブしたくなりました…。

1

大人に染みる

田舎の図書館に現れた、田舎に不似合いな大人の男に目を奪われる年下司書くんが攻めの萩原くん。
八月一日と書いて「やぶみ」と読むその人目を惹く大人の男が受けです。

じっくりゆっくり関係を縮めていく系のストーリーで、距離が近付くにつれてやぶみさんの地元もこの辺であることや、実家の事情で東京から戻ったことや「ゲイと自認した少年期の過去」「家族との確執」を知っていきます。
そして、やぶみさんに惹かれていることを見透かされた上で「僕はやめておいた方がいい」と告白するより先に告げられてしまいます。

ズルい大人と、純朴で誠実な青年の構図です。

この2人のやりとりや距離感、そして静かに流れて行く時間の描写がすごく素敵。
そしてモノローグやセリフの端々に知的さが漂う。
絵がいいんですよね。風景や視線や空気感さえすごく細かく描かれてて。

前作よりもまつ毛の長さやビシバシ感が控えめで耽美さは減ったけども、その分「大人の色気」があります。とにかく素敵。

ストーリーも山あり谷ありみたいな劇的な展開はなく、描かれてる季節は夏の終わりくらいなんだろうけど、心象としてはしんしんと静かに降り積もっていく雪のよう。


この作品は、私の場合はもし10代で出会ってたら「中立」とか付けていたと思います。
つまんな…とか思ってしまう可能性すらある。
大人になって、10代を「子供だった」と振り返れるようになった今だからこそ染みる作品でした。

10代の頃って自分のことをもう大人だと思ってるから、大人になって振り返るとかなり危なっかしいし、もったいない!と思ってしまう。
「初体験なんて一度きりなんだからもっと大切にしなよ!」とか、「もっと言葉を選んでしゃべりなよ!」とか。
そういう自分の青くささや苦さを思い出す作品でもありました。

だからこそ、書き下ろしの荻原くんの「やぶみさんは悪くないよ」という言葉の救済力よ…
染みました。

たぶん、これから年齢を重ねて大人になるたびに、私の中の評価がますます上がってく作品になると思います。

0

今後も気になる作家さん

デビュー作でかなり好感をもったオオタコマメ先生の二作目。
絵柄は、一般的なとっつきやすさは増していましたが、セクシーさは話の内容の影響もありデビュー作に軍配。どちらかというと以前の方が好みだったけど、沢山の方に読んでもらえる絵柄は断然こちら。それにしても車内を描くのはなかなか難しいのに、構図で工夫してるところもあり、お上手です。
デビュー作で気になっていた二人の箱庭感は変わらず。どちらも話の軸を考えると特に世界を広げる必要はないんだけど、カバー下の康太の父なんか非常にいい感じなので、もっと登場人物多めの作品が読んでみたいなぁ。
康太が図書館司書補で、八月一日がその利用者という主役2人なだけあって、作品全体に文学っぽさが漂ってました。邦画っぽさもある。気怠さがいいです。
自分は総じてデビュー作の方が好きだけど、今後も気になる作家さんです。

1

ゆっくり進む物語

ゆったりとした心地よいテンポで物語が進みます。
素敵ななお話だなと思いました。

この中でも描き下ろしがとても好みで感動しました。
何度も読み返したくなる作品です!

0

繊細な画づくり

透明感を感じつつもどこかに湿度もあるアンニュイな作風がとても魅力的でした!
出会い方がとても自然で、ゆっくり穏やかに歩んでいく二人の関係。

大人の傷をそっと救済していく展開が見ていて心地よかったです。
セリフ回しも個人的にとてもツボでした。
次回作も楽しみにしています!

1

この作品が収納されている本棚

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