さよなら、運命の人〈アルファ〉

sayonara unmei no alpha

さよなら、運命の人〈アルファ〉
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神50
  • 萌×238
  • 萌11
  • 中立6
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
21
得点
441
評価数
112
平均
4.1 / 5
神率
44.6%
著者
小中大豆 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
電子発売日
価格
¥690(税抜)  
ISBN
9784778132811

あらすじ

パリに住むΩのレオンは、学生時代の親友で片想いしていたアレクと7年ぶりに再会する。なぜかレオンが男娼だと誤解し、心配してくるアレク。卒業直前、別のΩと番になり会わないままだった彼を想い続けていたレオンは、思わず嘘をつき淫乱な男娼のふりをしてベッドへ誘う。もう彼に会うことはないと思っていたが、アレクは「またお前を抱きたい」と言い、二人は逢瀬を重ねていく。しかしその関係は長くは続かず…。

表題作さよなら、運命の人〈アルファ〉

アレクシス・ヴューラー,25歳,実業家,α
レオン・アーレンス,25歳,マヌカン,没落貴族のΩ

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数21

切ない想いと運命の巡り合わせ

アレクシス(α)×レオン(Ω)
当て馬:ユーイ(Ω)

レオンとアレクシスは学生時代から親友で、
レオンは、子供時代からずっとアレクシスに片想いしている。
第一次世界大戦前のパリを舞台にした
何度もすれ違い、誤解を重ね、運命の巡り合わせで、
ようやく逢瀬を遂げることができる2人のお話です。

「ずっと、彼に恋をしていた。彼だけを愛していた。」ーー
レオンのアレクシスへの一途な切ない想い・・・。

ずっと忘れられない、1人で苦労して苦しんでも、安穏な日々を過ごしても、アレクシスだけを想っている・・・。

愛するアレクシスがユーイと結婚したと思い込んで、自分の気持ちを伝えないまま、離別しても彼を忘れられない、過酷な運命に置かれたレオン。
「身も心も荒む中、たまにアレクシスの夢を見た。子供時代の夢、二人で大学に通う夢。彼と恋人になり、番となる夢。
 目が覚めて夢だとわかり、死にたくなる。また救いのない一日が始まるのだと、絶望した。」ーー
切なくて・・・切なくて!切ないしか言えない
胸が締め付けられて涙がこぼれました。

学生時代、
あんなに一緒にだった、
アレクシスと番となるのを確信していたのに。
ユーイが現れてから、アレクシスとの距離が近づかないどころか、だんだん遠ざかったり、
ダンスパーティーのパートナーは自分だと信じてたのに、選ばれたのはユーイだったことで虚脱状態となったり・・・、
さらにユーイと番になったことを聞いた時の衝撃・・・!
大好きなアレクシスに振られて引き裂かれた心の傷は、
ナイフで胸を抉り取られたように痛かったでしょう・・・!

両片想いをしていた2人は、誤解、何度もすれ違いても、再会し、
心がズキズキしたような痛い思いをしていたが、
運命の巡り合わせで
最後に気持ちを伝え合い、番となって幸せになって良かったです。
ほのぼのとした気持ちになりました。

緊張を高めた戦争前の状況で結ばれた2人。
ストーリーの背景はロマンチックです。

「何度離れても、俺たちはまた再会する。出会って惹かれ合う。どんなに離れようとも、俺はお前を、お前は俺だけを愛し続ける。俺たちは番になる運命だったんだ」
運命の人と離れてもその後必ず結ばれるということです。
タイトル「さよなら、運命の人」は、
「さよなら」にしても「運命の人」だからその後必ず結ばれるという意味だと思います。

「もっと早く互いの気持ちを正直に話していれば、ここまでこじれることはなかった。」
もしレオンが勇気を出して、Ωだと判明された後にすぐ自分の気持ちをアレクシスに伝えたら、そんなに苦しい思いをしなかっただろ・・・。

明日のことは神のみぞ知るし、
相手もそうかもしれないと思う時こそ、
待っているより、
好きだと言えなかった後悔をしないように、
恐れずに好きな人に自分の気持ちを伝える、確かめること。
それは意義深いことと思うようになりました。

レオンの切ない恋心、
2人一緒に過ごした学生時代の時間、
離れても変わらない2人の気持ち、
時を経てついに結ばれた運命の愛。
感動的なオメガバースでした。

1

列車のシーンでやっと心安らげる

小中先生の作品は初読みです。
ドシリアスからコメディまで、作品の幅が広く、攻めざまぁな作品が多いという評判な小中先生のことが気になっていたのと、yoco先生が大好きなこと、さらに海外もの。
好きな物がオンパレードということで、この作品から手に取りました。

結果的に言うと大当たり。
もともと健気受け、両片思いのすれ違い、ドシリアス大好き人間なので、とってもとっても楽しめました。

小中先生の文書は癖がなくてすごく読みやすかったです。読みやすいのでさらさらと先に進んでしまうところが、一瞬流し読みしてしまう部分でもあるんですけれど、それも含めてどんどん作品にのめり込む形になりあっという間に読み終えました。
さらっとしていて、ちょっと物足りない、と思う部分もあるんですけれど、それを上回る萌え。

パブリックスクールもの、学生の頃からの絆、切ない両片思い、すれ違い、それらが好きなら絶対にハマるはず。

作品を読んでいると大体、セリフや独白のシーンなんかが心にグッときて、覚書を書きながらどの部分が良かったかをメモするんですけど、この作品はそういうのじゃないんですよね。
小中先生の文書の特徴なんだと思うんですけれど、とにかくどんどん先を読みたくなってしまうし、引っかからずに読めてしまう。結果、最後の最後でやっと心が落ち着いて(笑)
読んでよかった。どこが、とか分からないけどとにかく良かった、萌えた、みたいになるんです。
一穂先生なんかも好きなんですけれど、一穂先生はとにかく読むのが大変。(私の中の感じ方の違いであって、どっちがいい、悪いとかじゃないです)
読むのが大変な反面、印象深い言葉や場面が割合すぐ思い出せる、みたいな。
場面や言葉で作品を好きになるか、もしくは全体の流れや雰囲気で好きになるか、そんな感じですね。
小中先生は後者かな、と思います。


さて、前置きが長くなりましたが、あらすじは皆さん書いているので省きます。


↓感想

この作品、どう考えてもどう読んでみても絶対絶対両思いだろう、という2人が主人公なんですが、いかんせん、当て馬(この場合当て馬と言って良いのか…ただの邪魔者)のユーイが駄目だよ…と読みながら何度も歯噛みしました。
この悪役令嬢みたいな心底底意地の悪いユーイよ。
文面的に、最初の頃はそんなに悪く書かれてないんですけれど。
いや〜どう考えてもこいつはクソだろ、という言葉と態度。
すっごくイライラするのに、この子が居たからこそ盛り上がるお話なんですよね。複雑だなぁ。笑

脇役のケヴィンとエミールですが、この人たちがレオンのそばにいてくれて本当に良かった。ケヴィンもエミールも出来た人ですが、その人格はやっぱり生きてきた中で色々苦労しているからなんだろうなぁ。

あとアレク!アレクよ!
なんだろう〜好き好き光線出しまくりたいのに理性で抑えつけて、でもダダ漏れ、みたいなこの人。笑
も〜大好きなんですよ。レオンのことが。
もちろん、レオンもアレクのことが好きなんですけれど。
せっせとレオンに食べ物や日用品を買い与えて世話焼いちゃうのとか。別に、アレクは恋人の世話焼きたい系の人ではないと思うんですけれど、でも焼いちゃうんだよね〜好きだから。行動が愛しいのなんのって…
途中、レオンのお店でチョーカーを買うんですけれど、読者からしたら、いやいやこれはレオンに買ってるやろ…とモロバレだと思う。そのくらい愛がダダ漏れ。
再会して最初こそ辛辣な態度と言葉を投げるアレクですけれど、致している途中からもう甘いし、最後の最後で2人結ばれてからはもうゲロ甘ですよ。
こういう、ドシリアス、切ない、悲しい、からの一転、超甘々ってのに私は弱い。
2人結ばれてセックスするシーンで何度かたまらない、って言ってるんですけど、読んでるこっちがたまらんよ!!
たまらない、ってなってる貴方達に私こそたまらないよ!ってなりました。

最終的には、いやいや会話しろ、と微笑ましく終われた作品でした。笑

2

ずっと切なくてドキドキしっぱなし!

殆どの方が『作家買い』ですよね!
私も『ド その通り!!』
小中先生、一度ハマると抜け出せない沼 笑
私は知ったのがかなり遅くて、今必死で追い掛けている途中なので、皆様のように全てを読んでいるのではなく、またまだ発展途上~~~
でも、この作品も本当に良かった。
『オメガバース』
『切ない』
『運命の番』
『すれ違い』
もう好きな要素が「これでもか!」っちゅー位に揃い踏み!!!!
そして、初めて読んだ『外国物のオメガバース』
そりゃオメガバースが人 ヒューマンであるならば、世界中にあって当たり前なのに、全く失念しておりました。
又もぉパリにオメガが似合う♡似合う♡♡
ドイツのギムナジウムでも似合ったのでしょうが、そこはまだま幼く、‪α‬Ωβが居てもまだ子供で・・・。
そこへ大戦前の成熟期して退廃したパリ。
はぁこれだけで世界が出来上がっちゃう。
この二人のドイツから引きずった『すれ違い』
そして『元凶』となったとてつもなくイヤな奴が出て参りますね。
『ハッピーエンド』だと聞いていたからこそ、手に汗握りながらも、ドキドキ 胸糞悪く思いながらも読む事が出来ました。皆さまありがとうございます。
しかも私達はこの先の大戦を知っている訳ですから、ドイツ人がパリに居てヤバいじゃない!一刻も早く逃げて!!が加わり、読んでてもどうしよう! どうしよう!!と居ても立っても居られませんでしたー!!!
そしてどれ程引き離されようが、戦争と言うとてつもない大波に巻き込まれようが、やはり『運命の番』って うるうる(´இωஇ`)♡♡♡
やはり小中先生、夢中になってしまいました。
ありがとうございます。

2

BL好きにとって幸せな設定

 アルファ・ベータ・オメガは男だけ。
 アルファを産むには、アルファとオメガでなきゃいけない。女なんかにはアルファは産めない。
 同性婚もアルファとオメガの番のみできる。
 なのでアルファの妻は大半が男(オメガ)。
 この設定めちゃくちゃ安心できて良い。

 主な登場人物
 アレク(攻):アルファ。幼少期からずっとレオンのこと好き。
 レオン(受):オメガ。幼少期からずっとアレクに片思い。
 エミール:アルファ。アレクとレオンと同級生。レオンに片思いしていた。卒業後にケヴィンと結婚。
 ケヴィン:オメガ。レオンの先輩。性格がよすぎる綺麗なお姉さん♂。
 ユーイ:日本人オメガ。学生時代、途中参戦してレオンからアレクを横取りする。最初から最後まで性格悪い。これぞ嫌われキャラ。今流行りの悪役令嬢みたい(詳しくないけど)。

 ユーイが結構ストレスに感じる存在です。
 ダンスパーティーで、アレクがユーイをパートナーに誘ったと聞き、落ち込んだレオンがエミールに誘われてパートナーになったシーンは、見せつけのように感じてテンション上がった。
 発情期に入ったユーイが周りの目を盗んでアルファ寮に侵入したシーンは、胸糞という言葉しか出てこない。

 積極性は足りないけど、アレクが攻めの中の攻め。レオンを一途に想ってて偉い。
 ユーイによる掻き回しでモヤモヤするのは要所要所あるけど、それ以上にアレクとレオンの掛け合いにキュンとする。
 アレクとレオンが番になって子供も産んで、どれほど幸せかをユーイに知らせることがささやかな復讐、とあって、もっと惨い復讐してええんやで……で思った。

 男同士で結婚できて、当然のようにお互いが夫、妻・女房、って呼ばれててめっちゃほっこりしました。

 レオンの店で、アレクが妻用に装飾用のチョーカーを購入するシーンを終盤まで覚えていてください。

4

レトロ・ロマンなオメガバース

電子化が遅かった作品。絵師買い。
「運命の番は、どんな障害が有っても結ばれる」がテーマの大戦中のレトロ・ロマンなオメガバース。

レオンはドイツの貴族、アレクは富裕な家の出自。
幼少時にレオンがΩなら婚姻させたいと親同士が話していた。
レオンに発情期が来た時、αのアレクは喜ぶ。
でもそこに嘘吐きユーイが登場して波乱が起きる。
すれ違いと大戦の動乱で二人は誤解したまま別離。

仏国に亡命した美貌のレオンがマヌカンとして働く店に、
娼館と勘違いした上司に同行するアレクが偶然立ち寄り、7年ぶりに再会。
レオンが諦めているから 再会後も続く誤解とすれ違い、二人の想いはなかなか通じない。
嘘吐きユーイが登場したりで二転三転、そのたびにレオンが呟く「さようなら」
直ぐレオンは身を引こうとするから、アレンが頑張るしかない。

とうとうアレクのレオンへの執着が愛を実らせる場面はほっとした。
誤解が解けてハピエンの結末まで何度もすれ違う構成。
その分、最後のハピエンを読む読者の喜びが大きくなるのだけど、焦れが苦手な人にはお薦めできない。
私は、凄く楽しめた。内容とマッチしたレトロな絵も綺麗だった。

--
ユンカー(ドイツ語: Junker):ドイツの地主貴族
元貴族を表す姓 「フォン」
ドイツの戦後処理では、東西に分断されたが、日本のように貴族制度は廃止されなかった。 そのため、ドイツには今だ多くの貴族が残っている。

5

星たちの息子

すれ違いすぎる作品。
あとから「あれ、どんな気持ちで言ってたの…」とか「あれ、どんな気持ちで抱いてたの…」と思い返しては涙する作品。
とにかく、すれ違いにすれ違って、お互いの心が相手に届かない。
ただ、恋して、愛し合いたいだけなのに、それすらうまくいかない人間関係、やがては時代までが2人を引き裂こうとする。
受のレオン視点で話が進みますが、攻のアレクの気持ちを慮るとあまりのエモさに炉心融解しそうになります。
第二次世界大戦あたりの話で、ラストのあたりヤバかったです。泣きました。
ロミオとジュリエットと風と共に去りぬと名作と呼ばれるエモエモ系映画がごった煮にされてます。
各章のタイトルも、レオンやアレクたちの生きた時代より少し前に大活躍したエリックサティ作曲のタイトルを用いて、おしゃれを極めています。

4

すれ違いのオンパレード

すれ違いの上にすれ違いが続いて、この設定が好きな人にはかなりハマる内容だと思います。
私はすれ違い→不憫→ハッピーエンドの流れが好きなので、そのど真ん中を行くこのお話は本当に満足行くものでした。

ユーイは韓国ドラマに出てきそうな意地悪なお姉さんと言った感じ(ユーイは♂です)。
そのユーイに引っ掻き回されるレオンとアレクシスなのですが、読んでいて「オイ!!ウジウジしてないで確認取れ!!」と叫びたくなる箇所が何度もあり(笑)
まぁ、そこで確認してしまったら、物語も終わっちゃいますが。

読んでいていつのまにか涙が溢れてました。
さすがは小中大豆先生!!
是非読んでほしいです。

6

切なくて読みやすい

文章の書き方がとても読みやすくスラスラと読めて内容が頭の中に入ってきます。
タイトルにも書いた通り物語の半分ぐらいがすれ違いなので切ないのが好きな人にはたまらないものの、それがお好みでない方には物足りなく感じてしまいます。
なんともエレガントな雰囲気で、絵とお話がマッチしていてすごく良かったです。

4

切なくて、何度も泣きながら読みました

とにかく切なかったです
なんかもうずっと涙しながら読んでました。
幼い日のたわいない約束…再会するまでは忘れていたくらいの。
ずっと胸に秘めてた訳じゃないけど、お互いに好き合ってるかも…という期待が無惨に踏みにじられて、その上追い討ちをかけるような事件が起こってそのまま長い別れ。
そして大人になってから思いがけず再会したけども、それからもすれ違いまくり…
これまさかのアンハピですか!?ってなりながら読みました。
いやもうどんだけ拗れるんですか?先生鬼畜ですか?って言いたくなってしまうくらい邪魔入りまくり。ずっと忘れられなくて夢に見るような人に再会して…番になれる訳じゃないって分かってるけど、体だけでも繋げたくて…悪い事だと分かっているけど、今だけ…って、切なすぎて幸せな2人をどれだけ待ち望んだか分からなかったので、ハピエンで本当に救われました。
面白くて一気読みでした

5

ドラマチックだけどしっぽりしてます

20世紀初頭のパリの雰囲気が味わえるオメガバです。
勝手にオメガバ=近未来が舞台!と決め込んでたので、なるほど、こういう設定や展開もありなのか~と新鮮でした。第二の性ありきではなくて、関係性のなかに生まれる事実ありきな”運命の番”という設定がとても情緒的で好きです。

えげつないほどすれ違いまくる2人に萌えました。初・小中先生だったのですが、読みやすくて美しい文章で完全に世界観にハマれました。上流階級の人々という設定のせいか、エロも含め全体的にエレガンスを感じてしまいました(笑)。没落貴族でΩのレオンが、蓮っ葉な感じを出そうとしても育ちのよさがそれを妨げてしまう感じとか、キレてても紳士的なアレクとか、、彼らのキャラクターを間接的に表現するような細部の描写がよかったです。

主軸の2人以外の登場人物にも魅力を感じました。昔レオンに片想いしていたエミールと彼の番のケヴィン、この2人が物語を大人っぽい雰囲気にしてる気がします。また、とことん2人の仲を邪魔しようと画策するΩ・ユーイは、清々しいほど嫌なやつで面白かったです。この人のわかりやすい意地悪を見抜けず、アレクを信じてあげられないレオンにちょっとイラつきましたが(笑)、長年の恋が拗れて正しい決断ができず、”お馬鹿さんになっちゃった”のかもしれないなと。。

核心に至るまでに遠回りする貴族的な手法ゆえに、気持ちを確かめあうまでに時間を要します。次こそ!って思いながら見事にすれ違っちゃう展開に切なくなって、完全に交わるのを早く見届けたい気持ちが急いて一気読みパターンでした。出会い→別離→再会→試練の古典的な手法に心地よさを感じ、読み終えて余韻に浸れる、秋の夜長にぴったりなラブストーリーだと思います。

9

読みやすい。

小説普段読まないのですがyocoさんの絵だと購買意欲が爆上がりするので
最近小説を買い始めました。

この作者の方文章が読みやすく普段小説読まない自分でも
2〜3時間くらいですらっと読めてしまうくらい読みやすかったです。

すれ違いが大好きなんで200ページほどはず〜〜とすれ違ってて
個人的にはすごく楽しめました。

オメガバであっても”妻”とかがちょっとオメガをあまりに女性的に描かれているところは趣味とは違ったのですが基本的にロマンチックな内容で素敵だと思います。

個人的には最後の方はあっさりしちゃってて物足りなかったのでが
全体的にまぁまぁ楽しめた〜!という感じです。

最初の嘘をついて体の関係をもつところ、受がかわいいなぁと思ったので
もっとぐちゃぐちゃな感情見たかったなぁ〜

7

カタルシスに届かなかった

受けが不憫すぎた後の成就というのはカタルシスを起こしやすいとは思う
ですが今回のそれを帳尻を合わせるほどの多幸感スッキリ感が起きず
カタルシスにたどり着けなかった
というのが正直な感想です


第二次世界大戦の以前のドイツの貴族の子弟2人の話
幼い頃に出会ってから互いに思い合っていると感じていたのに
お邪魔虫にものすごくこれでもかってくらい邪魔されまくって引き裂かれ別れ別れになってしまう
しかも受けは家が没落をしてしまったためどん底まで行ってしまう
そこを別の友人に助けられてなんとか立ち直っているところに想い人のアルファが現れるいわゆる再会もの
2人が再会した後も誤解や再びお邪魔虫に邪魔され成就しそうになっても両片思いのまま
最終的にはお邪魔虫の邪魔も彼らの運命の絆の前に力をなくし2人が結ばれる

昼ドラ韓国ドラマかって言う位メロドラマ的な展開で
ドキドキハラハラすごく悲しくなったり怒ったり呆れたりであっという間に読めました
そこのところはやっぱりさすが小中先生だなと思います

ただ他の方もおっしゃっていますが
一昔前の韓流ドラマ感が過ぎると言いますか(ここ7−8年間韓流ドラマは見てないです)
お邪魔虫の二人を邪魔をする方法があまりに女性的過ぎ
日本の帝の身内なのに何故ここまでドイツにいないといけないのか執着の理由が全くわからないので1ミリもおじゃま虫に感情移入ができずエイリアンみたいに思ってしまうのもちょっとかわいそうで…
(お邪魔虫にはお邪魔虫の理由があるんでしょうけれどもそこにもう少し男性的な理由や背景を感じられたらもう少し違ったのかもしれませんが)
現実はどうであったとしてもΩは伴侶がいる相手と思って体を繋ぐわけで…
「昼ドラかよ」「これ男女でよくない」「アルファで運命の番の相手ならここまで振り回されなくても…」「現実どうでも嫁おるって思っていててやっちゃうの?」と脳内で突っ込んでしまいすぎて
イライラの質量が重すぎてそれを消化して余るほどの
すっきりするカタルシスまでに届かなかった
という感じです



それでも先生の文章のうまさは流石ですのであっという間に読めますし
このすれ違いの長さやお邪魔虫の女性的なところ粘着質なところを楽しめて
振り回されるジェットコースター感がお好きな方は合うかな


それとyoco先生のイラストの麗しさでこちらの評価です

15

ハウルの動く城を思い出す

どこかでみた設定、キャラクター、話。
オリジナリティがなく完全にyocoさん頼り。

9

忘れられない恋を抱えて

今回は元同級生の実業家と服飾店マヌカンのお話です。 

惹かれあう2人が誤解を重ねながらも真実に辿り着くまで。

この世界の男性にはアルファ、ベータ、オメガという
第2の性が存在します。

英雄の性と言われるアルファ、
定期的な発情期があり、アルファの子を成すオメガ、
どちらでもないベータ。

旧来の欧州社会ではオメガはアルファを誘惑し
人間関係を拗らせると忌避されますが
抑制剤が一般的に普及しても
オメガへの忌避感を払拭するには至らず
オメガの自立は依然として容易ではありません。

受様はドイツの田舎貴族の次男として生まれますが
見栄ぱりで浪費家の両親は散財を辞められず
アルファだろう兄だけを大切にし
べータとされた受様は顧みられずに育ちます。

しかしながら兄がベータと判明すると
父親は受様をオメガだと言い出して
家柄の良い相手をみつけろと名門学校に入れるのです。

受様はその学校で資産家でもある土地貴族の
三男である攻様と再会し、
彼への恋心を育てる事となりますが

受様は実家の破産で学校を去る事となり
フランスに渡り、ベータと偽って働きながら
オメガとバレる事を恐れて過ごしていました。

今は偶然再会した友人夫婦の助けにより
パリの服飾店でマヌカンとして働いています。

マヌカンは顧客に最先端のモードを提供する
花形の職業ですが

娼婦をマヌカンと呼ぶ服飾店を装う娼館が現れ始め
繁華街に近いこの店にもそんな手合いの訪れが増え、
受様も苦々しく感じていました。

そんなある日、
この店を娼館と思い込んで「オメガを用意しろ」
と言う酔客がやってきます。

店長として酔客の対峙する事となる受様でしたが
受様の視線は叫ぶ酔客の背後にいた男性客に
吸い寄せられてしまいます。

その男性客こそ7年ぶりに再会した攻様だったのです!!

酔客は連れが受様の知り合いと知ると
訳知り顔でその場を攻様に譲って帰っていきますが
攻様も受様をオーナーの愛人と誤解しているようです。

果たして2人の邂逅がもたらす未来とは!?

20世紀初頭のヨーロッパ、
大きく変わっていく激動の時代に生きる
没落した貴族の受様と土地貴族で資産家の攻様の
オメガバースになります♪

受様は両親に顧みられずに育ち
親の都合によって名門男子校に入れられます。

その学校で攻様の親友として過ごし中で
オメガ性と判明した事で攻様への気持ちが
恋である事に気づきます。

攻様も受様を憎からず思っているので
2人はきっかけさえあれば結ばれたはずでしたが
ある人物の悪意と誤解が重なる事で
離れ離れになってしまいます。

そして再会はするものの
誤解の説けないままに関係を作ろうとするため
なかなかそれぞれの真意が相手に伝わらない上に
2人それぞれが知る"事実"は"真実"ではありません。

第2性による生きにくさに加えて
貴族社会、戦争という時代背景が縛りとして
上手く2人の人生に絡めてされていて

すれ違っていく2人にハラハラが止まりませんでしたが
ハピエンはお約束なので2人が番になるまで
たいへん楽しく読ませて頂きました♪

yoco先生の繊細なイラストも
物語世界の雰囲気にベストマッチでとても良かったです。

8

すれ違いに萌えまくりでした

小中大豆先生の作品は大好きで、欠かさず購入しています。本当に引き出しの広い作家様で、今回はショコラ文庫さんでの初めての作品だそうで、シリアスなオメガバでした。

他の方のレビューにあったように250ページまでは、アレクシスとレオンのすれ違いに胸が絞られるように痛くなりながらもページを捲る手が止まりませんでした。読み始めたら止まらなくなるので、夜中から読み始めるのはお勧めしません。www

こんなにもお互いに求め合っているのに、他者やタイミングや時代の流れに翻弄される二人が歯痒くて歯痒くて、この盛大なすれ違いが性癖に刺さりまくりで萌えまくりました。

沢山の悪意を振り撒いたユーイという日本人が登場するんですが、彼は何の為にドイツに渡って来たのだけが謎でした。オメガの性でも学業を修められるドイツに来たはずなのに、アレクシスに出会ってしまった事によって狂ってしまったのでしょうか?

アレクシスに拒絶され続けて、彼の父親には最後には疎まれて、彼が最終的に取った行動には呆れ果てました。

そのユーイの対局にいるのがレオンなんです。不幸な境遇や悪意に遭っても他者を思い遣り、自らを失わない強いオメガなんです。

どんなに周りに翻弄されても、幼い頃からお互いにずっと思い続け出来たアレクシスとレオンに胸熱でした。特に学生時代の二人の距離感にはキュンとしどうしでした。

8

すれ違いに萌えました

舞台が20世紀初頭のパリというドラマチックな予感しかしないところと、感傷的なタイトル、それからyoco先生のイラストに惹かれて購入しました。

歴史とオメガバースを融合させたファンタジーが好きなのですが、本作は設定がとても自然に溶け込んでいて読みやすかったです。

物語の始まりはドイツから。

没落貴族のレオンと土地貴族で裕福な生まれのアレク。二人は6才の時、アレクの家が催したパーティで出会います。その後ギムナジウムで再会して親友になり、第二性が確定する年頃になると、レオンはオメガ専用棟、アレクは上級生棟に分かれて寮生活を送ることに。一緒に過ごす時間がなかなか取れなくなってしまった二人は、すでにお互いを意識するようになっていました。

レオンとアレクは成長するにつれ、家族とのしがらみや時代の趨勢によって幾度となく妨害に遭い、運命に翻弄されていきます。もう、めちゃくちゃ劇的で波乱に満ちたラブストーリーでした。

すれ違ってばかりの二人に歯がゆいほど切なくさせられるけれども、「運命の番」をテーマにしたお話なので、初めて出会った時から惹かれ合う気持ちはずっと変わることはなく、最後はハッピーエンドです。

すれ違いが大好物なので、寝る前に読み始めてしまって、止まらなくなっちゃって…睡眠時間がー!笑

ギムナジウムを卒業する直前あたりからどんどんアレクの真意がわからなくなっていって、実際何が起こっていたの?卒業後彼はどうしていたの?と、今回もハラハラキュンキュンしまくりでした。

一気に読み終えてしまうくらい物語の世界に没頭していたのですが、正直にいうと個人的にオメガバースの苦手な点がとあるエピソードの演出に使われていて、モヤモヤしてしまったところがありました。レオンからするとアレクが番ってしまったユーイのやり口がね、それ女の常套手段じゃない?って。

昔の昼ドラ系は嫌いではないけれど、恋敵への切り札に「妊娠」(しかも男の)とか出されちゃうと、わたしには違和感しかなくて、、。ジェンダー縛りがリアルと変わらない世界観でBLが成立するシチュエーションって、男×男感が薄らぐような気がしてならないんですよね…。

『夜啼鶯は愛を紡ぐ』のような雰囲気が大好きだったので、海外を舞台にした今作もすごく好きなんです。

けれど、引っかかってしまうのは、アルファかオメガの子供を産むことが生き残るためのアドバンテージとなる優生思想的な世界観の中で、「運命の番」がやっぱりそれを継承していくことになって終わるという結末。

オメガバースなわけだから当たり前なんですけど、たまには歴史の流れを変える希望をにおわせるような、王道から一歩前へ進んだ境地が見てみたかったような気もしました。

14

壮大な愛の物語

作家買い。
小中さんて本当に引き出しの多い作家さまだと唸らされる。改めてしみじみ感じ入ってしまった作品でした。

貴族の子息でアルファのアレクシス。
没落貴族の出で、劣悪な環境にいるオメガのレオン。
学生時代に出会い、恋をして、けれど様々な要因が絡み合い袂を分かつようになってしまった二人。それが数年後、意外な場所で再会して―。

王道と言えば王道と言えるストーリー展開なのですが、彼らを取り巻く周囲の人たちの存在とか、アルファとオメガという性差、そして、大きな時代のうねりがあった20世紀初頭のヨーロッパが舞台になっているという設定も大いに生きていて、二転三転するストーリーになっているのはさすが小中さんというべきか。

タイトルからもわかるように今作品はオメガバースものですが、なんて言うんですかね。オメガバ、というバックボーンがこの作品のすべてではないんですよね。ベースはあくまで攻めさんと受けさんの恋の物語。そのストーリーを引き立てる因子にはなってはいますが、アルファだから、オメガだから、というところにすべてが起因してはいない。

何度でも、どこでも、いつでも出会い、恋をする。そんな壮大な愛のお話なんです。お互いに勘違いし、すれ違い、けれどずっと忘れることができなかった「ただ一人の人」。それがアルファ×オメガだから、という部分に終始していないところが素晴らしい。

で、そこに華を添えるのがyocoさんの挿絵。
もうイメージにぴったり。美しく、儚く、切なく。

良い人ばかりが登場するお話ではありません。
ほっこり優しい恋のお話でもありません。
人の欲やどす黒さもきっちり描きつつ、けれど今作品に描かれているのは深い深い愛情のお話。

文句なしの神作品。
小中さんとyocoさんの才能にひれ伏した、そんな1冊でした。

12

痛くて痛くて‥愛しい

由緒ある貴族のαアレクシスと没落貴族のΩレオン。
読んでて胸が痛かったです。幼い頃の出会いから惹かれた2人。だけどレオンは境遇が酷く支えてくれる友人はいたけど、アレクシスへの愛が唯一の希望だったのかも。あと優しすぎる。悪意から何度も何度も引き裂かれ、誤解から素直になれず、ずっとすれ違う2人が辛かった。胸にくるシーンばかり。そんな中で特に印象的なのが、襲われたレオンをアレクシスが助けたシーンと列車のシーン。前者はやっと本音で話せた事に安堵、そして後者はやっと‥やっとで想いが通じた2人に泣きました。胸を打つ作品

10

すんません

先生買い。笑うところは一ミリも無い、せつなさたっぷりなお話でした。メインカプのせつなさはとっても堪能できたんですけど、とにかくくそったれなキャラがいて、ちょっとあまりに後味が悪くて、萌にしました(ごめんなさい・・)。20世紀初頭ドイツ、パリ舞台のお話、本編280Pほど+あとがき。

19歳でドイツからパリにうつり、今は服飾店でマヌカンをしている元ドイツ帝国貴族の子息レオン。ある日、マヌカン=娼婦と誤解している酔客が店に入ってきたのですが、その酔客の後ろに立っていたのは幼い頃家族ぐるみで付き合いのあったアレクシスで・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受け両親+兄、エミール(攻め受けの友人、ええ奴や・・)、ケヴィン(寄宿学校の先輩、オメガ)、ユーイ(日本から来た転校生、皇族の血をひくオメガ)、受け勤務先のマヌカン等。

++攻め受けについて

攻めはヘタレ。以上。

としか言いようがない。いいようにユーイに運命を転がされてないか?!と思うのです。いや最後頑張ったよ?そこはえらい!と思うものの、そこに至るまでなんとまあイライラすること。私にはスパダリとは思えないでした。アルファやのに!

受けは「か弱き健気」じゃないです。強気だし逞しく忍耐強い。よく頑張りました、と思うタイプの受けさんに感じました。美人さんだし、もっと早くに幸せになってほしかったよー甘さが足りなーい。

そう二人の長い長いぐるぐる話、しかも嫌な奴からの横やり入りまくりな人生なんです。だから切なさというか焦れったさは100万点です。ほんと最後どうなるんだとめちゃくちゃ焦りました。250Pぐらいに盛大にすれ違って、ああああああもうだめだーこれはどうやって終わるんだよーとすっごい絶望感を味わったんです。
はらはらドキドキ長丁場なお話がお好きな方にはたまんないのでは。

甘さは少ないのと、長い二人のすれ違いと、すっげー嫌な奴が出てくるのを楽しめる方でしたらめちゃくちゃおススメです。ユーイがもうちょっと違った方だったら、嬉しかったんだけどなあ。

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過酷な運命に翻弄される、切なくも美しい愛の話

会いたいのに会えない、好きなのに伝えられないもどかしい恋。
困難だからこそ、結ばれた時にカタルシスをもたらし、大きな感動が生まれるロマンティックで奇跡ともいえるオメガバースです。

舞台はドイツとフランス。
パリでマヌカンをしているレオンは、かつての想い人であるアレクと再会し、彼に番がいると知りながらも関係を持ちます。
しかし、蜜月は長く続きません。
そんな2人の愛の結末とは…

小さな頃から惹かれあってきたΩのレオンとαのアレク。
自分ではどうしようもないくらい惹かれてしまう2人。
何度引き裂かれて離れ離れになっても、決して気持ちは揺らがない。まさに、不純物なしの愛。

身分差、ライバルΩのユーイ、家の没落、別離、再会…そして戦争。
過酷な運命が2人を翻弄し、その関係を容赦なく引き裂いていきます。

ユーイの嘘は、レオンがアレクの愛情を無条件に信じることを躊躇わせます。ユーイが狡猾で浅慮。
それと対比するように描かれるレオン。
家を出たレオンが友人に助けられながら懸命に生き、慎ましくも健気に生活している姿を丁寧に描き出していく視点が素晴らしい。
αであるアレクも偉そうに見えて、不器用にレオンを想い続けている姿に好感が持てる。

ラストに明かされる真実は、まさにネタバラシの様相でちょっと情緒にかけたかなとは思います。
それでも、狂おしいほど愛しいという感情が上手く描けていたと思うし、yoco先生のイラストも作品の世界観に非常に合っていました。

複雑な事情が絡み合って苦しいけれど、オメガバースにありがちな肉欲に溺れるといった下品さもない。
とても純粋に、もどかしい恋の顛末を楽しめる作品となっていました。

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哀しみも、苦しみも

20世紀初頭のパリを舞台としたオメガバース作品になります。
で、こちら、タイトルやあらすじから想像がつく事と思いますが、どシリアスで痛くてめちゃくちゃ切ないお話なんですよね。
この二人のスレ違いな、あまりに辛すぎるわ。
読んでて苦しくて苦しくて、挫折しそうになったわ。

ただね、そんな感じで、とにかく辛い作品ではあるのですが、その分ラストが圧巻なのです。
溜めに溜めて、最後の最後にドンと来る。
運命に翻弄され、引き裂かれ続けた二人が、ようやく・・・!と。
いやマジで、震えが走りましたよ。
胸がいっぱいですよ。

まぁそんな感じで、痛い作品が苦手な方にはオススメしかねますが、ドラマチックで強く心を揺さぶられるお話を読みたい方にはぜひオススメしたい。

内容です。
パリでマヌカンをしているオメガのレオン。
7年ぶりに学生時代の親友・アレクシスと再会するんですね。
別のオメガと番になり、疎遠となった彼を長年想い続けてきたレオン。
男娼と勘違いされた事を利用して、アレクシスに抱かれますがー・・・と言うものです。

で、もう二度と会う事は無いと思っていたのに、何故か「またお前を抱きたい」と言い出し、レオンの元に通うようになるアレクシス。
レオンは辛くもあり、嬉しくもある逢瀬を重ねるんですね。
しかし、そんなレオンを打ちのめす出来事が起こり・・・と続きます。

と、こちら、このあらすじからご想像がつく事と思いますが、とにかく痛いスレ違いものになるんですよね。
そもそも、主人公であるレオンが不憫すぎるんですよ。

ドイツで没落貴族の次男として生まれたレオン。

ギムナジウムでのアレクシスとの邂逅。
アレクシスと親友として過ごした幸せな学生時代。
やがて、他のオメガと番となり去ったアレクシス。
そんな彼を思いつつ、実家の破産により進学を諦めて母親の面倒を見る。

何だろうな。
彼の人生ですが、常に不幸の連続と言うんですかね。
レオンのこれまでが丁寧に綴られますが、彼は身内にも恵まれてないんですよね。
子どもを道具としか見ていない父親に、息子に嫉妬して幸せを阻む母親。ってな具合に。
また、典型的な転落系と言いますか。
貴族の末端として生まれながれも、流れ流されて、現在はパリで一人暮らす。

や、再会したアレクシスですが、最初は結構冷たい態度なんですよ。
レオンの事を淫乱なオメガ呼ばわりしたりして。
で、ここでのレオンがですね、あまりに健気でグッときちゃうと言うか。
傷つきつつも、ただ一度だけ抱いて貰いたいと願うんですよね。
えーと、彼の人生の中で、それほどアレクシスと過ごしたあの数年間が輝いて居たんだろうなぁと思うと、切なくて仕方ないと言うか。
慣れたふりをしてハスッパに振る舞うのに、胸が締め付けられると言うか。

で、ここから逢瀬を重ねる二人。
束の間の優しい時間を過ごしますが、既に伴侶の居るアレクシスとの時間は限られているんですね。
更に、舞台は20世紀初頭のパリ。
不安定な情勢だったりと、これでもかと二人を引き裂く出来事が襲う。

う~ん。
これな、小中先生と言うとズルい攻めなんかがわりと多い印象なんですけど、アレクシスは真逆の純愛系なんですよ。
レオンをとても大事にし、真っ直ぐな愛情を向けて来る。
や、再会時の態度こそ酷いものの、それは嫉妬心がとらせたものだろうと透けて見えちゃうし。
そう、この作品ですが、二人は明らかに相思相愛だと早い段階で気付いちゃうんですよ。
だからこそ、そんな二人が次々起こる悲惨な出来事に、翻弄されるのがめちゃくちゃ辛い・・・!
いや、戦争だのそういう物理的な事だけじゃなく、周囲の人物もかなり酷いんですよね。
レオンの両親といい、アレクシスの番といい。
このへんが結構エグくて、何故そこまでと人間の本性の醜さにゾッとすると言うか。
特に番、毒の塊にしか見えんと。
や、いい人もいっぱい居るんだけどさぁ。

と、とにかく9割しんどくて辛くて痛い作品なんですよ。
作品なんですけど、だからこそ、クライマックスでドカンとくると言うか。
もうこれな、まるで映画のワンシーンなんですよね。
やっと真実が分かったのに、二人はまた離ればなれなの!?と、めちゃくちゃハラハラさせてくれる。
からの、激萌えと震えちゃうほどの感動。
溜まりに溜まった鬱憤がここで解消されて、カタルシスを得ちゃうと言うか。
もう、アレクシスのセリフがあまりに素敵で、胸がいっぱいになっちゃう。
そう、二人は誰にも引き裂けないんだよ!
何度でも出会って、愛しあうんだよ!!みたいな。

繰り返しになりますが、痛くて切ないお話が苦手な方は避けた方がいいんじゃないかと思うのです。
でも、そのへんが大丈夫なら、本当に心が震える。
読み終えたあと、感動で胸がいっぱいなんですよね。
素晴らしい作品だと思います。

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