きらきら眩しいティーンエイジ・グラフィティ。

八月の略奪者

hachigatsu no raptor

八月の略奪者
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×22
  • 萌12
  • 中立2
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
9
得点
46
評価数
16
平均
3 / 5
神率
0%
著者
いつき朔夜 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
藤崎一也 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥560(税抜)  
ISBN
9784403521461

あらすじ

それは高校三年生の夏、思いがけず見つけた運命だった―。
校外見学でやってきた博物館で、アンモナイトの化石を割ってしまった浩紀。
だが、いつものように適当に流そうとした浩紀を、学芸員の香月は本気で叱った。
真面目で融通がきかない彼に反発を覚える浩紀だったが、博物館に通いつめるうちに、博識で可愛いところのある年上のひとにいつしか惹かれてゆき…。

表題作八月の略奪者

高校生:椋本浩紀
博物館職員:香月草一

その他の収録作品

  • 十二月の暴君
  • あとがき

レビュー投稿数9

年の差、補い愛

DKと6歳年上の学芸員が惹かれ合う、少し年の差ラブ。攻め視点です。

タイトルの「略奪者」には「レプトル」とルビがふられています。これは、博物館に勤務する香月が恐竜に詳しいことにちなんでいます。

高校の体験授業で博物館を訪れた浩紀。アンモナイトのレプリカ作りで、完成した自分の作品をクラスメイトにからかわれます。中学の時にキモオタ認定された黒歴史を蒸し返されてカッとなり、自ら壊してしまおうとしたら、見本だった本物の方を傷つけてしまいます。そのお詫びとして、夏休みに博物館でボランティアをすることに。

その時に浩紀を叱った香月が指導係となり、互いの素顔をさらしていくうちに、浩紀は香月に対してなんだかモヤモヤする思いを抱くようになります。

浩紀は香月を思う気持ちがなかなか恋だと気付きません。実は小学生の時、すでに彼に恋していたのに…。香月の親友・木部にムカムカしたり、香月が木部に恋情を抱いている秘密を知ってから、やっと自分の思いを自覚します。

そんな浩紀のあやふやさ、もどかしさに思春期の名残を見出してしまうのですが、同時にDKのポテンシャルに滾ってしまうところでもあります笑

たくさんの小さなエピソードが自然な流れとともに織り交ぜられていて、出来事一つ一つを通過していくごとに、恋が育っていく様子が伝わってくるところが上手い。作者様の読ませどころですね。

最後にSSよりは長めの受け視点「12月の暴君(ティラン)」が収録されていて、本編から3年後の二人が描かれています。浩紀も大学生となり、いよいよ就職活動を始めた頃。引き続きお付き合いをしている二人ですが、香月の方が不安定になっていて、浩紀と別れようと決意を固める年の差あるあるです。

こちらにも当て馬として木部が登場したり、エッチの方も少しだけ大人の階段を登ってくれているのですが、それだけじゃありません。将来どのような関係でありたいかを見据えて二人が悩み、答えを出していくところがメインなんです。

大学卒業後の進路をズバッと決める浩紀の男気と包容力に、あの時のポテンシャルを発揮してくれてありがとう…と、ありがたく拝ませてもらいました。

余談ですが、知人に香月という苗字の方がいて、地元が福岡でした。作者様の出身地なので、作品の端々に地元愛を感じてしまいますね〜。

0

大好物の育成ストーリー

年下攻めです。年上の受けが年下の彼を育てていくお話。私、攻めが受けを育てる話も好きなんですが、受けが攻めを育てる話にも非常に萌えのツボを刺激されるんですよね。それも単に自分好みに育てるんじゃなくて、本作のように、相手の才能とか美点を引き出し、相手の成長を助けていくという話にとても惹かれます。

主人公、浩紀はやりたいことが見つからず、「どうでもいい」が口癖の高校生。自分で自分のことが分からなくなる少年期の苛立ちがよく伝わってきます。そんな彼が真面目で博学、そしてちょっと可愛いところのある学芸員、香月との出会いによって成長していく過程を描いた本編。浩紀の少年から大人へと成長していく姿がとても自然に、瑞々しく描かれていたのが良かったです。

「青春」という言葉は美しく響きますが、実際、その只中にいる時は、やりたいことが見つからず進む方向が見えなかったり、周りの目を気にして、あるいは照れくさくて自分をさらけ出せなかったりと常に迷いが付いて回りますよね。

香月は、浩紀が周りの目を気にするあまり、あえて抑制してしまっている才能や美点を引き出して行きます。嫌々ボランティアを始めた浩紀が、徐々に生き生きと仕事に取り組み、香月に惹かれていく様がとても素敵。

本編は浩紀の視点で進んでいくので、香月の気持ちが見えにくいところもありましたが、浩紀が隠していた優しさに惹かれたであろうことは想像に難くありません。「そうか。優しいのは秘密なんだね」という香月のセリフが好きです。この作品は、こういうさりげない言い回しが随所で光ってますね。

何事にも本気になれなかった浩紀が、いざ香月に夢中になると愚直なまでに突き進むのに対し、出会った時は、本気で浩紀を叱った香月が浩紀の想いをはぐらかし、臆病さを見せるあたりは、少年の一途さと大人の狡さや脆さが対照的に描き出されていて、切なくなりました。 

三年後の二人を描いた「十二月の暴君」は、香月の視点で話が進んで行くので、さらに香月のネガティブさや脆さが際立ってくる感じです。香月は、傷つくのが怖くて、常に最悪の事態を想定して生きている人なんでしょうね。そんな香月の殻を破ったのは「大人の男」に成長した浩紀の一途で包み込むような愛情でした。香月からすると、自分が育てたと思っていた相手が、実はもうとっくに自分の手から飛び立っていた。どっしりと落ち着いた大人の男に成長し、自分を守ってくれていた。

この「育てる側がいつしか守られていた」という関係の転換がドツボでした♪育てる側の香月は、相手が成長していくのを見守りながら、切なさと不安を抱くわけです。だけど、浩紀は香月から離れたのではなく、一歩引いて香月を守っていた。そのことが明らかになるシーンが、私にはたまらなく感慨深くて、キュンとしました。これぞ育成ストーリーの醍醐味!

6

年下攻めの成長に萌えました

主人公(攻め)は、ごくごく普通の高校三年生です。
校外見学でやってきた博物館で、学芸員の香月(受け)と出会う。
ボランティアでその博物館に通ううちに、香月のことが気になり始める。
その感情が恋だと気づき、高校生らしいひねくれかたと真っ直ぐさ、背伸び、そのすべてでもって香月にぶつかっていきます。
それが痛々しかったり微笑ましかったりで、胸がキュンキュンしました。
いつき朔夜さんの人物の描き方がすごく好きです。等身大で、体温を感じる。
キャラを作るとき、大人のずるさや弱さを、上手い匙加減でスパイスのようにピリッときかせてるのが好きです。清廉潔白な人間よりも、スパイスのあるキャラのほうが魅力を感じる。

後半はそれから三年後の二人。
年下攻めの成長っぷりに、萌えまくりました。
そうそう、この時期の三年ってデカイんだよ~。

4

逆光源氏

高校生×博物館学芸員。6才差。校外見学の博物館で化石を壊してしまったことから、夏休みにボランティアをすることになる。一生懸命なことをダサいとからかわれる年頃。適当に流していたのに「優しい」と言われて恥ずかしいほどに慌てる若さ。真面目で融通のきかない人に反発を覚えていたのに、だんだんと惹かれていく。対等になれないもどかしさ。好意を示しても相手にされない。片思いでも、会えなくなるのはイヤ。
年下攻はやっぱいいね~。3年後、成長した攻が眩しい。今度は受のほうが片思いっぽい。学生のうちに手放してやろうとする。保護した野鳥を手放すときの切なさ。年下の彼氏を自分好みに育てて、でも想像以上に大きくなったときの喜びと驚き。年の差は一生縮まらないけど、追いつこうと頑張る。おいしいお話でした。ラスト、もう少し書いて欲しかったけど。
青を中心とした表紙も、海の底にいるみたいで好き。

2

キラキラ輝く十代の恋

予想外にキュンキュンさせられましたww
十代のピュアでワンコな攻と、男性しか好きになれない真面目な年上受。
少し専門用語等も出てきて話が難しくなるので、そこらへんで
ウトウトしてしまいましたが、結構自分の生活にも関係あることなので
再読してちょっと考えさせられるような内容でもあり、
BL読んでて久しぶりに頭使っちゃいました。

浩紀はホントにワンコキャラでかわいかったです。
年上の香月に追いつこうと必死になるのだけど、香月も木部との
ことがあったから、ゲイではない人を再び好きになることに臆病に
なっていて、浩紀の猛アピールにも冷静な態度で真剣に取り合って
くれない。
まだ若い浩紀からしたら、その反応が寂しかったり、イライラしたり、
自分との年齢差を自覚させられたようでつらいんですね。
そんなもどかしい2人の話は、久しぶりに読んだピュアなストーリーで
キュンキュンしましたwww

若さゆえの情熱の押せ押せパワーで突き進む浩紀と、
年上であるがゆえに相手の将来のことを考える一方で、
ノンケと付き合うことは、いつかは捨てられるということに
怯えて今一歩が踏み出せない香月。
2人ともがいじらしくて、でもゆっくりゆっくりと育まれていく恋心に
キュ~ンと切なくなります。
お互いの気持ちを盛り上げていく小さな出来事がまたかわいらしく、
なんだか中学生同士の恋愛に見えるほど純粋な2人。
たまにはいいですね~
こんなピュアなお話読むと心が洗われる気がする(ってオオゲサな)
まっ、でもエチはちゃんとありますのでww

香月の想い人であり、友達である木部さんですが、イイ人ですね~
香月のウソに騙されたフリをして、友達の立場を続けているのですから。
果たしてこれが本当の優しさかと言えばフクザツなところですが、
その木部発言にジワ~っと熱くなっちゃいました。
あと、ラストの香月のセリフも大好きですww
クサいセリフかもしれませんが、私的に「この蝉は年中~」ってとこに
キュンキュンなりましたwww

「十二月の暴君」
3年後の2人のお話です・
ノンケと付き合ったゲイの設定ではよくありがちな悩みなんですが、
ワンコ浩紀がとにかく一途で、またもやキュンキュンww
ちょっとエチに関してはオヤジっぽく成長しちゃってますが、
イイ男になりました!
香月の教育のたまものですね★

もう2人の年の差を感じさせない程に男らしくなり、
足踏みしすぎた香月はその成長に不安が増し、
一層臆病になってしまった。
でも、最後には浩紀のおっきな愛に包まれて幸せいっぱいな香月です。
このお話でも木部さんグッジョブ過ぎて、ちょっと切なくなりましたよ~
彼にもイイ人見つかりますように...

2

年下の男の子の必死さが可愛い

高校三年生の夏、郊外見学でやってきた博物館で、
アンモナイトの化石を割ってしまった浩紀。
化石を割ったことを適当に流そうとする浩紀を叱りつけたのは、学芸員の香月。

初めは真面目すぎる香月に反発を覚えていた浩紀でしたが。
香月の研究に対する情熱や、彼が時折見せる可愛い部分に触れるたびに、
惹かれて行きます。そして香月も……

高校生と博物館職員。
攻めと受けの年齢差が6年です(年下攻め)。
三十路過ぎると6歳差くらい、どうでもよくなると思いますが。
学生時代の6年は大きいですよね。この年齢差に二人は戸惑います。
その葛藤する姿が丁寧に描かれていて、良いお話しだと思いました。

特に高校生の必死さ、焦り具合が初々しくて、可愛いです。
彼の成長する姿がまた頼もしくて、素敵。

1

神じゃないけど萌えはめいいっぱい捧げたい良作

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:めちゃオススメ)
高校3年生の浩紀×真面目な学芸員の香月の、年の差ラブ。
いつきさんのお話はブレがないのでとても好きです。
登場人物の職業や立場や性格付けがしっかりしていて、かつそれらを踏まえた具体的なエピソードを盛り込んだストーリーは、突飛な題材であっても地に足のついた説得力があって素直に凄いなあと思います。
全く未知&興味のない職業であっても安定感ある文章で読ませてくれる解説上手。なんにも知らない読者(私)でも非常に入り込みやすい。
そういう信頼感もあって、追っかけ作家さんの一人です。

一目惚れやドラマティックな恋愛モノも好きですが、この二人のように相手のことを少しずつ知っていく過程で徐々に気持ちが育っていく話は、ああ恋愛っていいなあと思えてとても好きです。
どうしてこの二人が惹かれ合うのか?という必然をストーリーの中にさりげなく積み重ねていて、好きになっていく心の推移にやはり説得力がありました。

悪ぶってるでもない優等生でもないどちらかというとフツーの高校生…この高校生らしい感性と思考のフツーさ加減がリアルでとても良かった。
こういう普通タイプの攻めを(受けはゴロゴロいるけど)魅力的に描くのは案外難しいと思うんですが、なんだろう、普通なのにいい男の原石のようなキラリと光るものを持ってる…みたいな魅力。
年下攻めらしい勢いもあるけど決してワンコじゃないんですね。いつきさんの作品はいい意味で簡単に萌えカテゴライズできなくていい。攻めも受けもみんなどこか等身大。

恋愛一色じゃないところも好感が持てました。
恋愛と自然化学の世界、その間を浩紀の進路という橋で繋いで上手く話をまとめていて、そのバランスが抜群です。
生き物や自然への愛着という意外な面を持つ浩紀と生物に造形が深い学芸員の香月。10代らしい真っすぐさと勢いを持った浩紀とゲイだけど恋愛に関しては臆病で慎重な香月。
なんだ、こうして書いてみるとぴったりな二人だ!
お互い感化し合っていい部分を引き出していく…いい出会いってこういうのを言うんだろうなあ。

良かったと言えば二人の初エッチには萌えまくりました!
年下童貞の浩紀とゲイの自覚はあっても初受けの香月。
ネクタイ外す所から手間取っちゃうようなまごまご感溢れる手探りエッチが初々しくてかーわーいーいー!
こういうところも高校生らしくていいなぁ。大好き。

十代らしい浩紀の勢いが臆病で自己完結しがちな香月の殻をとっぱらった浩紀視点の1話目、それから3年後浩紀の成長ぶりに戸惑う香月視点の2話目という、2段活用で上手い具合に6年という年の差恋愛を両視点から味わえてとても満足度が高い1冊でした。

1

年下攻の成長モノ

博物館とその周辺を舞台に繰り広げられる、高校生と学芸員の穏やかな物語です。

初恋モノっぽい焦れったさと、成長していく浩紀の頼もしさにきゅんとしました。ただ、前半は浩紀のキャラがちょっと掴みどころがない印象を受けました。偽善的な良い子でもなく、かといって悪い子でもなく。それが思春期だと言えばそれまでですが…。

藤崎一也さんのイラストの小説を初めて拝見して、男子高校生らしい物慣れなさがよく伝わってきました。反面、色気という点では本文ほどの艶っぽさはないように思います。

1

年下攻めは好きですが

いろいろ燃え切れず、微妙な展開。
ちょっと乗り切れませんでした。

0

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