唇の温度

kuchibiru no ondo

唇の温度
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×23
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
25
評価数
6
平均
4.2 / 5
神率
33.3%
著者
吉田美野 

作家さんの新作発表
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イラスト
あわのすけ 
媒体
小説
出版社
&Me BOOKS<サークル>
レーベル
電子発売日
価格
ISBN

あらすじ

「なあ、唇にも相性ってあると思わないか」

友人の誠司が恋人の龍一と経営しているバーOpusである日、耕平は佐々木という男と出会う。
お互い結婚に夢を抱けないという点において、意気投合した二人は次第に距離を縮めていくが――。

相手のことを知り過ぎて、いいことなんて一つもない。
ただ好きなだけでは、何の役にも立ちはしない。

ワケアリな30半ばの男×2の、ズルくて切ない、ちょっぴりビターなラブストーリー。

表題作唇の温度

佐々木壮健,35歳,会社員
牧浦耕平,34歳,会社員

レビュー投稿数3

大人だからこそ踏み込めない切なく甘い物語

タイトルに「唇の温度」とあるように、キスシーンが多い作品です。中々キスに焦点を当てる作品に出会えないので貴重でした。ストーリの本筋は、30代半ばの男同士なので、お互いに色んな経験もしているのですが、故にお互い踏み込みきれないのが、もどかしくも切ないです。とは言え攻めの佐々木が受けの牧浦をかなり溺愛しているのがわかるので、切ないだけじゃなくて甘さもきちんと楽しめました。大人ならではの物わかりのよさが読んでいる方からするとじれったく、二人の恋の行方が気になって一気に読み進めてしまいました。

4

静かな雰囲気がとても好き

三十代の大人の男二人が、ゆっくり気持ちを深めていくお話。

バーで偶然出会ってから、キスをする仲になる二人。ほどなくセックスまでするようになるが、関係性は曖昧なまま。受けの耕平は最初からあまり拒まず、攻めの佐々木はでろでろに甘やかす。恋人同士のように過ごしても、お互いはっきりさせないせいでセフレ止まり。
流れるままに、という感じで、恋による気持ちの寄り添いというよりは体から馴染んでいく展開だった。

一貫した耕平視点で、何においても常に自分にブレーキをかけているのが分かる。佐々木への気持ちも、秘密を知ったときの反応も、素直な感情を発露させることなくやり過ごす。それはたぶん佐々木の方も同じで、軽い口調で自分を装いながら、肝心なことは口にしない。

どうにももどかしいこのやりとりが、大人の関係を演出していてとても好き。ときめきとは対極にあるような、体力の衰えを訴える描写も良い。BLキャラで三十代半ばのスパダリなんて絶倫がデフォなのに、佐々木は一回で音を上げる。逆に新鮮で好き。
二人の過去もリアル寄りのエピソードで、それなりの経験を経て今のような対応になると分かるのが良い。

残念だったのは、子供嫌いを主張していた耕平の、このエピソードに対する決着の付け方。子供は要らないと何度も言っていたので、どこに落としどころを持っていくのかと思っていたが、あまり前向きでなくスッキリしなかった。
また各所に嫌な方向に引っ掛かる表現があり、読み返すにしても飛ばし読みになるかと思う。これさえなければすぐにでも読み返したく、惜しい。

メインキャラ二人は年齢以上に大人な印象で、しっとりした作品の空気に溶け込んでいた。この雰囲気がとても好き。ハマるとまじでたまらん!てなる感じ。ずっと静かだったからこそ、ラストで爆発する二人も良い。萌える。
アフターストーリーも仲良さげなエロで良かった。

読後はチョコレートが食べたくなった。好き。

1

曖昧なところが要所?

『パラダイスキス』の最後に出てきた黒縁眼鏡の男は、本作のメインになるキャラクターでした。

バー"Opus"が主人公たちの縁を結ぶ今作と『パラダイスキス』は連動しているようです。"Opus"は誠司と同性パートナーの龍一が共同経営していますが、場所柄いわゆるハッテン場ではありません。

作者はノンケ同士が性癖なんだろうか。

誠司の友人・牧浦と、龍一の同級生・佐々木がキスフレからセックスする間柄になっていく過程を描いたお話です。佐々木のキャラが立っていたので引き込まれたけれど、牧浦が男のようで男っぽくなくって期待が外れてしまいました。

ただの解釈違いとして流して欲しいですが、個人的にノンケ同士の受け攻め固定は不自然だと思っているので、佐々木が「今度は牧浦さんも気持ちよくするから」という意味は、わたしの中でリバなんです。「そこはリバだろ‼︎」ってツッコミ入れたくなってしまった…。

牧浦が一方的に抱かれる側であったり、佐々木の交友関係や過去に嫌な気分になったり、スタンスとしてはセフレにモヤモヤする女側に立っているように見えます。終盤で佐々木のことを「気になる相手」として合コンで知り合った女性に恋愛相談みたいな話をしたり、今すぐには父親に堂々と佐々木をパートナーとして紹介できないと独白しているので、いつかは…と思っているのかな。

でも、佐々木は違います。自分から牧浦を誘っておいて、牧浦との関係は表沙汰にはしない方向らしい。場合によっては女の子と付き合うとも。まぁ、勝手な男だと自覚しているようですけど笑、そこは切ないすれ違いでしょうか。

うーん、それこそ同性カップルの男性性・女性性を分けたくないっていうのが作者の主旨のような気もするけど、BLとして描かれているからか煮え切らない印象しか残りませんでした。非BLだったらストレスなく納得して読めるような気がするのです。その差はやっぱり、お約束や期待感に応えてくれるかどうかなのかなぁ。

"Opus"のカクテルやフードを含め、佐々木と牧浦が食事をとるシーンが一番楽しかったです。どのメニューも自分が選びそうなものばかりで、そのお店、行ってみたい〜ってまたお腹がすいてしまいました。ご飯シーン大好きです。

この二人って、週末に一緒にお酒飲んでセックスしてよく眠って起きてご飯食べて…っていうルーティンを繰り返してるんですが、三大欲求を健やかに満たしてるんですよね。ただ男同士ってだけで。こういう親密すぎる友人関係って、実際にありそうなんだよなぁ…。

現状維持で二人の未来がわからない締めくくりはノンケ同士ならではだけど、カプ固定で通すのならわかりやすいBLセオリーに踏み切ってもらいたかったかも。

1

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