片想いの相手と駆け落ちしました

kataomoi no aite to kakeochi shimashita

片想いの相手と駆け落ちしました
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×227
  • 萌5
  • 中立0
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
13
得点
328
評価数
78
平均
4.3 / 5
神率
52.6%
著者
海野幸 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
大橋キッカ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
電子発売日
価格
¥890(税抜)  
ISBN
9784773060164

あらすじ

逃げられない縁談から晴臣を助けてくれたのは初恋の相手・大我。なぜか交際宣言までしてくれて、駆け落ち同棲生活が始まった!?

表題作片想いの相手と駆け落ちしました

山内大我、初恋相手の同級生
紫藤晴臣、華道の家元の次男、25

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数13

甘くて可愛くてちょっぴり切なくて、何よりあたたかい作品でした

庶民派包容力攻め×天然おぼっちゃま受けによる、偽装駆け落ちものになります。

激甘な二人の新婚生活に萌え転がり、おぼっちゃまの全力節約生活に笑い、一途で切ない恋心にキュンキュンする。
て感じのホームドラマ系ラブコメでしょうか。

個人的に海野先生の作品が大好きなんですけど、実はこの手の「ハートフルラブコメ」が、一番好きだったりします。

ザックリした内容です。
華道の家元の次男・晴臣。
初恋相手が忘れられない彼は、兄から持ちかけられた縁談を「恋人がいる」と嘘をついて断ろうとするんですね。
で、恋人を連れてくるように言われて困っている所を助けてくれたのは、その初恋相手で同級生の大我。
晴臣から事情を聞いた彼は、自分が恋人役をしてやると言い出してー・・・と言うものです。

まずこちら、主人公の晴臣ですが、おっとりおぼっちゃま。
ちょい天然なんですけど、妙な所で我の強さも見せると言う、こう、(本人は真面目だけど)面白いキャラでしょうか。

で、そんな晴臣と偽装駆け落ちを決行するのが、町工場の倅で庶民派包容力攻め・大我。
えーと、面倒見が良く包容力があるタイプになります。

こちら、キモとなるのが、晴臣の兄・清雅になるんですね。
実は清雅と大我は犬猿の仲で、恋人が大我だと聞いた清雅は猛反対。
そこで、二人は手に手をとって、(偽装)駆け落ち。
で、大我のアパートで(偽装)新婚生活を始め・・・と言った流れになるんですけど。

これ、個人的に萌えまくった所ですが。
ズバリ、二人の新婚生活になります。
えーと、何だろう。
コミカルでありつつ、激甘。

繰り返しになりますが、晴臣は超おぼっちゃまなのです。
超世間知らずです。
バリバリの箱入りです。
駆け落ちで家を出る為の支度をしようとすれば、慌てて持ち出すのが防災リュック。
で、防災リュックに入ってた三万円が全財産になるのですが、節約の為に自炊しようと買い物するのが高級スーパー。
いや、金銭感覚が完全にズレてて、彼が出費を抑えようと行う事自体が、まさに無駄な出費って感じなのです。

で、笑わせてくれるのがここから。
実は大我ですが、終盤で明かされる諸事情により、生活が厳しかったりします。
自分の存在やこれまで通りに生活した事が、大我の負担になってたと気付く晴臣。
すると、節約大作戦を決行する。
いや、最初こそ世間知らずすぎて「おい、おい!」って感じだったのが、図書館で節約方法を片っ端から調べ、スーパーでは底値をチェックし、「見切り品」を購入する。
世間知らずのおぼっちゃまだった晴臣が、捨てられるキャベツの葉を貰ってきて「タダだ」と喜んでるのが、なんか微笑ましいし可愛いのです。
これな~。
彼がここまで必死なのって、全て大我の為だと思うと、いじらしくてキュンともなっちゃうんですよ。
電気代を節約しようと寒いのを我慢し、大我が帰ってくる前になるとエアコンを入れるに至っては、いじらしすぎて切なくなってくる。

あと、そんな感じの貧乏生活ながら、「二人なら幸せ」って所にもキュンキュンさせられちゃって。
これ、偽装ながら、二人の生活がまさに「新婚さん」って感じで激甘なのです。
節約の為に二人でお風呂に入り、「恋人」らしく見える練習と言う事でハグ。
えーと、こちら終始晴臣視点で進むんですけど、明らかに大我は晴臣を狙ってるよね?と分かる仕様でして。
もっともらしい理由をつけては、いってらっしゃいのチューをねだったり、ペアのリングをつけたり、やたらとスキンシップをかまそうとしてるのにニヤニヤしちゃうんですよ。
負担を心配してバイトを増やそうかと尋ねる晴臣に、前より生活は潤ってると言い、「お前がいるだけでいいよ」と本音をこぼす・・・。
ぐはっ!
甘すぎるじゃんかよーーー!!

で、ここから、波乱の展開。
二人のアパートにお兄ちゃんが襲来し、大我の実家への融資を口利きする事を条件に、帰って来るように迫るんですね。
更に、晴臣ですが、駆け落ちに際して初恋の思い出の「ある物」を持ってきています。
それを見た大我の反応により、晴臣はアパートを出て帰る事を決意し・・・と続きます。

実はこちら、この「ある物」がですね、実に上手くキーアイテムとして使われてまして。
二人ともそれぞれに好きな相手がいると勘違いしてるのですが、この「ある物」が誤解を招くと共に、気持ちが通じあう重要な役割も果たすのです。
ついでに、大我には好きな相手がいるからと、自身の気持ちをひた隠しにする晴臣。
彼の切なく健気な片思いに、胸がキュッとなっちゃうんですよ。
片思い、なんて切ない・・・。

ところで、キモとなるのがお兄ちゃんだと書きましたが。
実はお兄ちゃんと晴臣ですが、幼い頃は仲が良かったのに、今は会話もあまり無くぎこちない関係です。
これ、終盤で誤解が解けると、お兄ちゃんの不器用っぷりにもニヤニヤしちゃいましたよ。
お兄ちゃん、弟が大好きじゃん!と、微笑ましい気持ちにさせてくれましたよ。
いや、冷静に考えると、彼が諸悪の根元なんだけど。
ただでさえ誤解がある二人を、更にこんがらがらせてくれちゃってるんですけど。
お兄ちゃん、何してくれてんだ・・・。

とりあえず、二人の気持ちが通じあうシーンがですね、あまりにロマンチックでうっとりしちゃいました。

ちなみに、昨年の海野先生ですが。
「桃色シーンを頑張る」が抱負だったそうです。
だからか、エロは最後に一回だけながら、かなり萌える甘々エロでした。
や、晴臣がおっとりおぼっちゃまなのに、意外とエロいと言うか艶っぽいと言うか。
天然煽り系と言うか。
男らしい(?)のにやたら艶っぽい誘い文句に、悶絶しましたよ。
あっけなく理性を崩壊させてる大我にも笑いましたよ。
てか、着物を脱がせて下着も脱がせて肌襦袢だけにして興奮してるって、分かりやすい男ですよ。

最後に、おぼっちゃんで世間知らずだった受けの成長にも、あたたかい気持ちにさせてもらえました。

16

息が止まるほど美しく、香り立つ告白シーン

華道のお家に生まれた深窓の令息が、後を継ぐ予定の兄から見合いをごり押しされそうになって、長い間片思いしていた幼馴染の町工場の倅と偽装駆け落ちをしましたが……というお話。

海野さんのお話ですから、読者の楽しませ方がとてもお上手。
徹底的な経済観念の薄さであるとか、明らかな倅(大我)の『好き好きモード』に気づかない鈍感ぶりであるとか、令息(晴臣)の現実離れした『深窓ぶり』で笑わせてくれます。
また、晴臣の兄や2人の共通の幼馴染の立花という女子のエピソードも2人の関係を混乱させて、なかなか気を抜けない感じを最終版まで引っ張ります。

でもそれだけだったら、こんなに「いやー、良い本ですよ」とお勧めしたくはならない思うんですね。
だって、こういう言い方もなんですが、似たような筋のお話は何度も読んだことがありますもの。

「じゃあ何がそんなに良かったのか?」と言われれば、大我から晴臣への告白シーンです。
これは私が知っている告白シーンの中でも一二を争う!
何と言ってもここの部分の描写が素晴らしく、そして美しい。
絵が頭に浮かぶ。
そして文章が香るのです。芳香な花の香り。
それらが相まって、恋をしたことのある人なら思い浮かぶ『時が止まる』あの感じが生まれるんです。非常に胸に迫るんですよ、ここが。
恋愛小説におけるロマンティックってこういうことなんじゃないかと!

海野さん、以前から『手練れの方』というイメージがとても強かったのですけれど、今作でもその見事さを見せつけられました。
大我はものづくりに誇りを持っている『町工場の倅』です。晴臣が、爪の間に油が染み込んでいる大河の手を「ものを作っている人の手」と言いますが(このセリフも素敵だったのよね)海野さんの小説を読んで「恋ということをよく分かっていらっしゃる方の文章だよね」と思ってしまいました。
いや、私なんかがこんなことを言うのは僭越なんですけれども。

10

良かった!

見合いを逃れるために偽装駆け落ち&同棲というお話なんだけど、印象的なシーンがいくつかあって楽しめました。

まず二人の偽装新婚生活描写に萌え転がりました。

超おぼっちゃまゆえ世間一般の金銭感覚を持ち合わせていないんですね、受けは。
だから所持金があっという間に底をついてしまい、ようやく自分がいかに世間知らずで一般的な経済観念を持ち合わせていないか気づくんです。
だけど攻めは、その疎さを決して責めずに「甲斐性のない旦那で悪いな‥…」と言ってくれるんですよ。
優しい〜♡

そこから節約生活を心がけてどんどん逞しくなっていく受けにも好感が持てるし、そこがまた「お金はなくとも愛がある」みたいな貧乏若夫婦みたいでいいんですよ。

ちなみに読者には両片思いなのが見え見えなんだけど、あくまで犬猿の仲である受け兄に一泡吹かせてやりたい一心で、攻めは駆け落ち&同居をしてくれてるにすぎないと受けは思ってるんですね。
だから攻めに本心を悟られないようにクールに装いつつも、密かに幸せを噛み締めている様子がこれまたいじらしいんです。

夫婦茶碗に惹かれるもあくまでごっこだから……と自制して、それでも箸だけでもお揃いにしたいと密かに思う受け。
それを「夫婦箸みたいだな」と攻めに言われて、「まあ、一応、夫婦だからな」と動揺を悟られないように返したりしてるんだけど、端から見ると新婚カップルそのものみたいなやり取りをしているところが萌える。
(そして、後日このときの茶碗を何も言わなくても買ってきてくれる攻めが、これまた優しい。)

私がこの本の中で一番好き&泣いてしまったシーンは、疲労から高熱を出してしまった受けが、何度も何度も攻めの名前を呼ぶシーン。

攻めの本心を勘違いした受けが、この偽装同棲もついに潮時だと思いながらも、傍で心配してくれてる攻めの手を求めるんですね。
握り返してくれる攻めの手の感触を確かめながら、「好きだ」と言えないかわりに何度も何度も攻めの名前を呼ぶんです。
その都度、おう、なんだ、うん、いるよと飽きもせず返してくれる攻め。

伝えられない気持ちを名前に込めて伝える。
相手を心の底から求める愛しさと切なさに満ち満ちてて、何度読んでも泣けます。

そして全編通じて「花」が重要なアイテムとしてあちこち散りばめられているところがとても良かったです。

電子には特別版としてコミコミ特典小冊子の【花の名前】が収録されてて、これがまたとてもいいんですね。
二人にとっての花がいかに特別だったかという過去、そしてこの先も花と共に過ごしていくんだろうな……と未来に思いを馳せることができる点で、全読者に読んでほしいと思える内容でした。


7

なんて素敵な告白シーンなんだ

こんな美しい告白シーン、初めてかもしれない。
素晴らしかった。映像で見たい。いや、脳内には鮮やかに映像が流れました。

海野さんの伏線の張り方がやっぱりすごい好きなんです。
それで勘違いや すれ違いの嵌め方も惚れ惚れしちゃうんですが、何が良いって、読者にはきちんと「ほのめかし」ながら進んで行くところです。
でも途中で「え?あれ?もしかして読み違ってる?」なんてハラハラさせる部分もちりばめつつ、最終的には期待値の場所にきっちり落としてくる。
もちろん、そーだったのか!なんて種明かしもある。

うーん、上手いな!と唸ってしまいます。

5

純愛ってフレーズはこういう恋に使って欲しい

もうね、華道家のおぼっちゃまの小学生の頃のエピソードがたまんないです。

で、そのまま成長してるんです。
そして攻めだけが好きなままです。

で、攻めは一時期は遊んでた様ですけど受けに対する想いは特別なままです。

2人ともキャラが良くて、お互いが特別で、その気持ちが上手く描かれていてたまらなくなります。

健気な2人のピュアな恋が長い時間を経ていきなり駆け落ちから動き始めて、そしてまた過去のエピソードをやり直すところが青臭くて上手いです。

ちゃんと両思いで良かった〜


3

可愛くて悶え死ぬ

小学校の同級生だった町工場の跡取り息子×華道の家元の次男のお話で、現在の年齢としては26歳。なんとこの2人、小4で恋に落ちた両片想い同士でした!

攻めの大我は自工場を守るため、腕のいい職人獲得に向け出稼ぎ中。一方受けの晴臣は次期跡取りの兄から言われたお見合いを断るため、好きな人がいると嘘をつく。大我が帰省していた時に偶然再会を果たし、事情を聞いた大我は2人が付き合っていると嘘をつき、駆け落ちすることに。

そうして始まった2人の同居生活だけど、いいお家のお坊ちゃんな晴臣は一般庶民の金銭感覚がなく、お買い物はセレブ向きのスーパーが定番。その他、水道光熱費など大我1人で生活していた時と必要経費の違いが明るみに。でもそこは擦れてない、純粋なお坊ちゃんの晴臣。愛する大我のため、一般庶民の金銭感覚を大我から聞いたり、図書館で節約術を学んだりと、とてもいじらしいんです。色んなスーパーの底値を確認したり、豆腐屋さんからおからをタダで貰ったりとお坊ちゃんらしからぬかいがいしさを見せるんです。

もうそれだけでも十分可愛いのですが、1番キュンときたのは、大我から晴臣への告白のシーンです。小4の時の思い出に倣って、花束から花を1本ずつ渡しながら「好き」とか好きなところなどを言いながら渡していくんですが、もうそこが私の中では最高の激萌えポイントでした!

他にも、晴臣がいかにお坊ちゃんなのかがセリフの言い回しにも出ていて、育ちの良さもとても良いです◎でも男らしいところもちゃんとあるのでかなり好感度高めです。

また折に触れて何度となく読み返したくなる、そんなお話でした。

1

花を渡す

先生買い。泣いちゃいました。ラブコメって聞いてたのに、ちょっとちゃうやーん、泣いてもうたやーん!と一人ハンカチで拭いてました(車内)。楽しいっちゃ楽しいのですが、受けの恋心がきゅーーーってくる印象の方が強かったお話、本編230P弱+あとがき。泣くぐらいめっちゃ好きなところがあったのですが、他の部分で惜しい!と思う所もあったので萌2にしました。

華道の家元の次男坊である晴臣。ある日兄から見合い話を持ち掛けられたのですが「心に決めた人がいる」と何とか断ろうとします。説得が上手くいかず動揺した晴臣は、その心持ちのままてくてく家の外に出てしまったところ、小学校の同級生だった「忘れられない相手」の大我に10年ぶりぐらいに出くわし・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
清雅(受け兄、攻めと犬猿の仲)、受け両親、立花(攻め受けの小学校同級生♀)ぐらいかな。
お兄ちゃんが、惜しい!個人的にはもう一歩!という感じでした。最初絶好調やってんけど。最後まで暴走してほしかった。

**とにかく好きだったところ

告白シーンがあるんです。そこがもう最高によかった。今まで読んできた全ての本の中で、最も好きなんじゃないかと思うぐらい好き。読み進められなくなっちゃって、涙がててーって流れちゃいましたね、嬉しすぎて胸がいっぱいで。(今思い返しても胸が熱い)

キャラ的には面白いといえば面白いですが、そんなにゲラゲラ笑わなくて、「あれ?ラブコメやったんちゃうの?」と思いつつ読み進めてたんです。上記の大好きな告白シーンのインパクトが大きすぎて、私的にはコメディやないなという位置づけです。何に分類するの?と言われると困りますが、「告白シーンが一番好きな本!」というタグ付けです!

攻めはやんちゃなワンコ、受けは深窓のおぼっちゃま(斜め上発想あり)→生真面目な一生懸命さんという印象です。受けがなかなかどえりゃーおぼっちゃまでして、湯を沸かして使った後、残った分は流しに捨てるという記載のところでは「ええええええちょっとまてーーーー」と盛大に突っ込んでしまいました。そんな感じにちょこっと笑うところはあるものの、ながーーーーーーーーい片想いがきゅうううううっと胸に迫って、ほんで最後に大好きな告白シーン!なので、ムネアツBLとでも言えばよいかな?

このお話の好きなところを上手く伝えられなくて悔しいです。でもほんと、いいシーンなんですよ、告白のとこ。いっぱいの人に読んで欲しいなああああ。海野先生、ほんと有難うございました。泣いちゃいましたよ!

8

片想い相手と新婚生活!

長い永い初恋のお話ですね。
あらすじは紹介されてるので感想を。

長~い両片想いのお話でした。
晴臣視点でしたので切なくて切なくて。
でも10年ぶりに再会した大我とあっさり駆け落ち新婚生活に突入して。なんだかびっくり。

晴臣の世間知らずや色んな経験値が大我との生活で大きく成長しましたね。見切り品!
経済感覚も鋭くなり指輪の値段を叫んだり。
甘々同棲暮らしにこちらも何度も心臓がビートをきざみましたよ。

お互い初恋の相手で、でも片想いだと思っていて、諦めが悪くて忘れられず。
でもそれで良かったね!10年の時間をかけてチャンスが舞い込んで。

すれ違いが切なかったですが読んでるうちに大我も実は晴臣を?と。
とあるアイテムが誤解と真相に結び付くのですが。

誤解が相まって同棲から逃げ出した晴臣が大我と再会して、気持ちを打ち明け大我にも種明かしをされながら花を貰う場面では泣けてきました。
そうだったんだねえ。あの時から大我も。

その後ラブホで結ばれて。なんだか急だな。
でも幸せに包まれて良かったね!
純粋で可愛くて大我を殺しにかかる最高の恋人です。指輪もちゃんと持ってて良かった。

気になる点
兄が大我のバレンタインにもらったクッキーを全部食べちゃったり、大我と犬猿の仲になったり、大我と駆け落ちさせたり、大我の実家について嘘をついたりはもしかしたら兄も晴臣を?兄弟だけど?と思っていたら全然違いました。

また晴臣を忘れられない大我がその後女も男も抱きまくりだったことがちょっとひっかかり。
まあそれだけ晴臣を想って苦しんだんでしょうけど。

晴臣が職人を尊敬していること、晴臣は町工場の倅には高嶺の花なこと、晴臣が新婚生活を通して成長したり、大我の懐が深かったりスキンシップ過多だったり、晴臣を大切にしてくれたり、色んな要素が良かったです。

噂が飛び交う町ですが二人が末永く幸せでありますように。

4

拗らせた初恋の結末

今回は実家が町工場の職人見習いと華道の家元の次男のお話です。

受様が攻様との偽装駆け落ちをきっかけに片思いを実らせるまで。

受様の家は明治時代に創立した華道光月流派の家元です。五代目の家元
は受様と8つ違いの兄がほぼ決定しており、様々な催事場で花を活けた
り、講演活動をしています。

もともと花が好きで内向的な受様は大学卒業後は家に入り、華道家とし
てカルチャーセンターや自宅の華道教室で生け花を教えたり、兄が大き
な会場で活ける時にサポートしたり、花ばかりの生活をしていました。

そんな受様にいい話だからと兄が見合い話を持ちかけてきます。兄とは
仲の良い兄弟だと思っていましたが、兄が次期当主と呼ばれるようにな
って頃から兄が何を考えているのかわからなくなります。

実は受様にはずっと思い続けている相手がいるのです。相手とどうにか
なる見込みはありませんが、この淡い恋心が消えるまでは結婚も見合い
も受けるつもりはありませんでした。

しかも兄は見合い話を断りたいという受様に「決まった相手がいるなら
連れてこい。連れてこられないなら話を進める」とにべもありません。

受様は気持ちを落ち着かせようと花に向かいますが、かえって初恋相手
を思い出すこととなり、花を抱えてふらふらと家を出てしまいます。
そんな受様を助けてくれたのは、中学卒業以来10年以上会うことのなか
った初恋相手の攻様でした♪

攻様は東京で就職したと聞いていましたが、その日はたまたま実家に顔
を出したところだそうで、久しぶりに再会した受様の顔色の悪さにびっ
くりして何があったのかと詰め寄ってきたのです。

うっかり兄から勧められた見合い話に困っていて、断るためには受様が
誰か相手を連れていかないといけない状況にいると知った攻様は自分が
恋人のふりをすると言い出します。

なぜか昔から攻様と受様の兄は犬猿の仲で攻様は「兄貴に一泡吹かせて
やろう」と非常に乗り気になるのです。そのまま受様宅に向かい、受様
兄とバトッた結果、売り言葉に買い言葉で受様は攻様と駆け落ちして
東京暮らしをする事になってしまうのです!!

そんなこんなで2人の駆け落ちは成功するのか!?
そして攻様の真意は何処に!?

初恋を拗らせた超おぼちゃまな受様が再会した庶民派攻様と両想いに
なるまでのラブコメディになります♪

海野さんのお話はお互いに好き同士の主役2人が、それぞれの思い込みに
よりすれ違ってするグルグル&ドタバタが絶妙に面白いと思く、今回も
そんなグルグルを楽しみに手に取りました。

受様は幼いころから花にしか興味がなく友達もいないのですが、小学3年
生の時に心惹かれた攻様への恋を自覚してからは攻様以上に惹かれる人
とも出会えず、ずっと初恋を忘れられません。

華道の家元の次男として家業に携わり華道家となったため、実家のあた
り前が一般の生活よりずっと豊かでハイレベルだという事にも知らずに
いて、当初はゆえあって極貧生活を送る攻様の暮らしをさらに圧迫して
しまう様がコミカルで笑えました。

しかし、自分の無知に気付いてからの節約ぶりとアルバイトまでしちゃう
内助の功、そんな受様を見守りながら時々に攻様が発する口説き文句の
オンパレードはまさに新婚さんそのもので萌え萌えです♪

しかし、受様を攻様から奪還すべく攻様のアパートを訪れた受様兄は弟
の痛いところを突き、疲労で発熱した受様の大事にしていた物を知った
攻様の言動を誤解した受様は実家に戻る決意をするのです。

受様と攻様、受様と兄、攻様と受様兄、それぞれの誤解とすれ違いと確執
が上手く絡み合い、コミカルな中にも程よくシリアス風味が効いていて、
2人がまとまるまでワクワク楽しく読めました (^o^)/

まとまった後の2人の生活を周りの反応すら見越して真剣に考える攻様が
実に頼もしく、受様の反応と合わせてさらに萌えさせて頂きました。

攻様、ほんといい男です♡ 受様については攻様と兄が犬猿の仲なのは自分
が原因だったってわかったのかな? とちょと疑問が残りましたが、そんな
ところも攻様には可愛いいとしたら余計なお世話かな!?

4

歴代最高の告白シーン

ラブコメものだと思い何気なく手に取ったら、確かにラブコメではあるものの、グッとくる台詞や描写が多く、非常に良い意味で裏切られました。
コメディと両片思いのラブな部分にほのぼのとしていると、突然胸をガシッと掴まれるような…
バランスが良く読みやすく、なおかつ細かな描写が素敵な作品です。


あらすじは他レビュアーさまが詳しく書かれているので割愛致します。
華道の家元の次男なお坊ちゃまと、同級生で町工場の倅という2人の再会もの・両片思いが成就するまでのお話です。

今作は皆さまが仰っている通り、何よりも告白シーンがとっっっても良かった…!
1本ずつ花と想いを贈り、やがて花束になる。
このシーンが本当に美しくて、今まで読んだお話の中で1番好きな告白シーンになりました。
小説なのに、まるで映画を観ているかのよう。
どうしてこんなに素敵な描写が思い浮かぶのでしょう…
海野先生の筆力もさることながら、大橋先生の挿絵も素晴らしかったです!
人物は勿論、お花がすごく綺麗で…上記の告白シーンを読みながら想像していた通りの素敵な画がパッと現れます。

告白シーンだけではなく、2人の新婚(?)生活の描写もコミカルで可愛らしいです。
お坊ちゃんゆえに、世間知らずで金銭感覚も怪しい晴臣。
同棲当初は色々とぶっ飛んだお金の使い方をしてしまいますが、根が真面目でとにかく一生懸命なので、失敗からどんどん学び、やがて頼もしいくらいの節約家に!
家を出てから新しく覚えた言葉が見切り品なのに笑ってしまいました。
そんな晴臣に呆れるでもなく、静かに見守りながら良いところは良いと褒める大我。
どっしり余裕がありそうに構えながら、さり気なく晴臣に口説き文句を言うものの、相手はなかなか気が付かず…(笑)
あれこれ理由を付けてさり気なく指輪を買ったり、スキンシップをはかったりする姿も可愛らしかったです。

全編を通して2人ともが尊重し合っているというか、相手のやる事を否定しないのが良かったです。
各職人さんへの尊敬の念が感じられる言動が随所に散りばめられていて、なんだか素敵な2人だなあと思ったんですよね。
幼い頃に恋をしたきっかけになった言葉が、お互いに特に意識をせず自然と出た言葉だったというのも素敵。
ちょっと最後のラブホテルのシーンは駆け足だったかな?
もう少しじっくりと読みたかったななんて。

今後も2人はこの小さな町で幸せに暮らしていって欲しいなと思える良いお話でした。
長年の両片思い・受け大好きな攻め・頑張り屋な受け・ラブコメも切なさもキュンも読みたい!という方におすすめの1冊です。
告白シーンが本当に素敵なので、色んな方に読んで頂きたい…!

4

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