一途に愛する人魚×素直になれない中年男 人魚と夫婦になると不老不死になるという――

わだつみの嫁取り

wadatsumi no yome tori

わだつみの嫁取り
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神61
  • 萌×234
  • 萌11
  • 中立4
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
16
得点
478
評価数
110
平均
4.4 / 5
神率
55.5%
著者
文善やよひ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
双葉社
レーベル
マージナルコミックス
発売日
価格
¥720(税抜)  
ISBN
9784575380583

あらすじ

不老不死の人魚に、女と間違われ嫁にもらわれた男・キヨ。人魚の力により死ねない体になったキヨは、悩みながらも、終わりのない生を2人で寄り添い過ごしていた。一方、キヨを深く愛する人魚だったが、
彼にはある秘密があり…?『鴆‐ジェン‐』が話題の実力派・文善やよひが紡ぐ、種族を超えた純愛幻想奇譚。コミックス描き下ろしも収録!

表題作わだつみの嫁取り

人魚,キヨの夫
雪之助(キヨ),人魚に娶られた男

その他の収録作品

  • 描き下ろし

レビュー投稿数16

BLで初めて、男同士でも子供ができる未来を心から願いました。

腰痛持ちのおじさん(受)がゆるふわ系人魚(攻)に女と間違われて娶られて、腰痛を抱えたまま不老不死になって悠久の時を生きていて、夫の人魚とは訳あって60年離れ離れで、そしていざ今宵、60年ぶりの再会───と始まるも、実は1年間違えててまだ59年しか経ってなかった…というもはやどこにツッコんだらいいのか分からない情報量満載で始まる本作。
てっきり今回の文善ワールドはコミカルに振り切ったものかと思いきや。

ゆるふわ人魚がひっそりと背負っている運命がとてつもなくヘビーで、男同士の彼等が子供を成せるようになる未来を心から願いたくなるお話でした。

なんで女と間違えたんだろう?とか、
なんで不老不死なのにおじさんなんだろう?とか、
なんで60年も離れ離れになってたんだろう?とか、
序盤のコミカルターンで湧く疑問は、どれも後半への伏線。
それらの答えはしっかりと明かされます。

ネタバレがお嫌な方はこの先は読み飛ばし推奨です。



物語は、人間のキヨが人魚に娶られてからすでに何百年も経っているところから始まります。
ベースになっているのはメルヘンチックな童話の人魚姫ではなく、人魚の肉を食べて不老不死の呪いにかかった女が死ぬ方法を探して旅する日本の人魚伝説(八百比丘尼伝説)のほう。
キヨも自分がとっくに人ではなくなっていることを知りながら、人であることを諦め切れずに死ぬ方法を探しています。
そして人魚は、そんなキヨに対してとある事実を何百年も隠しながら連れ添っています。
長年連れ添っているはずなのにどこか心許なさを感じさせる2人のお話です。

人魚が黙っているだけで、キヨは実は不死身ではありません。
本来は異性にかけるべき不老不死の術を、人魚は同性のキヨにかけてしまったので中途半端にしかかかっていないのです。
そして、本来は人との間に子を成すことで不老不死が解かれる人魚の生なのですが、そのたった一つの死ねる方法を同性を娶ったことで未来永劫失ってしまったことも人魚はキヨに隠しています。

同性に恋する苦しみを、まさかファンタジーの中でこんなにも苦しく描かれるBLに出会うとは思いもしませんでした。
乱暴に言ってしまえばファンタジーなんてなんでもありじゃん。
なのに、なのに、、、
こんな苦しいお話を描いてしまう作者の作家力を恨めしく思いながら読みました。

キヨが死ねる方法を探していたのは、人魚の最後を見届ける覚悟で人魚と一緒に永遠の命を生きていこうと思ったから。
人魚が死んだあとの世界でどうすれば死ねるかを知っていれば生きることは怖くない。キヨは死にたくて死ぬ方法を探していたんじゃなくて、生き続けるためにどうしてもその方法を手に入れておきたかった。
キヨの告白には思わず涙でした。

上で「男同士でも子供ができる未来を」と書いたけど、生まれたら生まれたで今度はその“わだつみ”がまた同じ業を背負って生きていくことになるんだよね…
なかなか厄介な運命を背負ってる彼等の未来にどうか幸多からんことを。


ところでなんで人魚に触手を生やそうと思われたんだろ…(最後に残った大いなる謎)

あと、コミコミの有償特典は人魚のアレに関するたいへん興味深い事実が明かされております。
キヨ〜そうだったのかキヨ〜〜〜( ´艸`)となること請け合いです。

9

永遠に続く純愛

この作品では人外ならではの寿命問題が顕著に表現されていて切なさと尊さがギッシリと詰まってました。
人魚によって不老不死にされたと思っていたキヨが自分の”不老不死”の真実を知り始めた4話からは切なさの嵐でした。

仲の良い人たちの死を看取り残されていく辛さ。
自分だけの時が止まったように永遠に続くという絶望感。
それを知ったからこそ、人魚のした事にも全てを説明しなかった事にも易しく向き合えるキヨにガッツリ泣かされちゃいました。

6

欲のお話

門善さんの新刊きた……!!と思い、早速電子書籍で購入いたしました。人外といえば鴆も極夜もどちらも心臓が引き絞られる思いでとても楽しませていただきました。

人外専門誌から出てるだけあって本当に人外が半端ないです……。
攻めが長い年月を生きる人魚という設定なのですが、まず私たちの持つ『人魚』のイメージとは全く異なる人魚の造形をしておりまさに妖怪といった方がしっくりくるような設定で背筋がゾクっとしました。圧倒的画力に脱帽……
1000年は生きてる大女将さんと格の話をしていましたが、そんな大女将さんよりも遥かに格上の存在とみて問題ないでしょう……ひええ


お話ですが、作中では明言されてませんが庚午の年と電灯普及から昭和1930年代前後ですかね?
ちなみにプロローグはその60年前から始まります。甲子から癸亥まで1周で60年……めちゃめちゃ長いですね……
その人魚によって(無理やり?)不老不死にさせられたほだされおじさんとのお話でした。
なんという不憫……かわいそうな受……60年(正確には59年)も1人でまってたのか……
不老不死の人間になってしまったことであらゆる時間や関係から切り離されてしまうことに。
それでおじさんは死ねる方法を探してる…というストーリーでした。

この話にはたくさんの欲望が出てきます。
生きたい。死にたい。愛してほしい。一緒にいたい。
それらを、種族間の違いまでもを受け入れて前へ一緒に進んでいく姿に思わず涙がこぼれました。
エピローグのくだりが一番心に響いています。
これも我欲ですが、いまこの時もどこかでふたりが最期を探しながら生きていることを願ってます。

5

人外と人間の、苦しくて、美しい話

ネタバレしまくりの感想です。

まず、人魚が人間を娶る理由が、人魚自体の不死を終わらせるっていう設定がとても好きでした。
結局、娶った人間を、愛している相手だとは言え、「あなた、私のお墓になって!」って言ってるみたいなもんですよね。
完全に人魚のエゴです。
人外キャラならではの良さをドバドバ感じて、最高でした。

受け・キヨちゃんが、結局自分が人魚の嫁になった本当の理由を知らないまま、本編が終わるってのも、もやもやしましたが、余韻があって、作品を読了後の後味はよかったです。
ただ、人魚さんの思いも伝わって欲しかったので、いつかお互いに本心で話せる日がくるといいなぁ、と願っています。

ラストページの、3人の手のカット。
二人の結末がわかるコマだと思うんですけど、二人の気持ちを考えるなら心から喜ばしい結末だと思います。
ただ、人外が人間に寄っていくのが苦手私には、辛い結末でした。
不老不死のまま、二人で生きていくのではな駄目なのか?という気持ちもありつつ、二人が共に人生に区切りをつけることが出来そうなラストに、よかったね、と言ってあげたい気持ちになりました。

続編があったら、是非読みたいのですが、あえて結末をはっきり描かない方が、美しいお話かもしれません。
続編というよりも、これまでのふたりの話や、ちょっとした日常の小話を沢山摂取したい!!と思わせられる、素敵な作品でした。
また読みたい!!

4

溺愛人魚×不憫おじさん

初めて読む作者さんの作品でしたが、切なさも愛しさもあってとっても良かったです。

テーマとして暗くなりがちだと思うのですが、人魚のキャラクターの可愛さとか、キヨさんの柔らかさもあり、シリアスになり過ぎていないんです。

人魚が何故キヨを嫁に選んだのか、60年(59年)も離れていたのは何故かとか後で理由が分かってくるのですが、切なくて愛が深くて泣きそうになりました。

人魚が自分を不老不死にしてしまった事、嘘をついていた事、全てを受け入れ自分が人魚より少しでも長く生きて最後の人魚を見届けるという決意をしたキヨが男前でした。涙が美しかったです。

本編最後のページで、大人2人の手に重なる小さい手…子供ができる日がくるのかな。
そんな日までどうか2人が幸せであるように願わずにいられません。

作者さんこだわりの触手エロもとても良かったです。
Hのバリエーションが無限に広がりそうなところが良いですね♡
時間の豊富にある2人だから、色んなプレイにチャレンジできそうです♪

3

すっごく良かった!心に刺さった!

人外専門のマージナルコミックスということで、人魚がさすがのビジュアルでした。触手+質感が微妙そうな鱗付きの人魚は見た目だけで敬遠する人も少なくないだろうに、これで出してくれる心意気。もう大好きです!レーベル推しでいきますよ!笑。
人間のキヨとこの世で最後の人魚のお話。キヨさんが善い人で情の深そうなところが魅力的でした。人魚はデフォルメ顔がめっちゃツボです。目をそらしてハート飛ばしてる小さな絵がお気に入り!キヨさんを娶るまでの過去回想が泣けます。
最後のキヨさんの覚悟には感動しました。あのキヨさんがここまでの激情に駆られる姿を見せるなんて。本当に半端な決断じゃなかったんだなあと。何年分の思いが詰まってるのかもう分からないくらいで、その分重くなってたのかな。
本当に一生離れずにいて欲しい二人です。

3

人種を超えた一途な愛

文善やよひ先生の新作は、
人魚と人間の人種を越えた永遠の愛の物語です。
『鴆‐ジェン‐』は人外受けでしたが、今回は人外攻めです!

不老不死の人魚に娶られた人間の男・キヨ。
〝人魚の肉は不老不死の薬〟と言われ、
人魚によりキヨもまた不老不死の身体となります。
しかし、人間にとって親しい人たちを見送るだけの不老不死は苦痛であり、その呪いを解くべく仲間を探しに行く人魚。
次に会う約束は、60年後で……⁉︎

正直、初めは??となりました。
本作は再会の場面から始まるのですが、
60年後の約束なのに実際の再会は59年後だし、
人魚に触手はあるし部屋に上がるしミカンは食べるし(笑)
面白い話?とさえ思いましたよ^^;

人魚に名はなく、あくまでも人魚なのです。
この子が愛嬌のある人魚で、コミカルに描かれています。
触手を使ったプレイもありますし、
ナニは人のと全然形が違うらしいです。
電子だったので修正が白抜きで、
そこは想像するしかない(無理!)のですが……

キヨは見た目、イケおじって感じのおじさんです。
人魚の肉を食べると若返るんじゃないの?
と思ったのですが、そこにも理由がありました。

とにかく謎だらけのお話で、
中盤以降怒涛のように謎が解き明かされていきます。

なぜ人魚は人間の男を娶ったのか?
キヨはどうして出会った時の姿のままなのか?

この答え……正直、う〜ん……という感じ……
全ては人魚のキヨに対する愛……ということですかね^^;


そして、死ぬ手段を手に入れたキヨが選んだ未来は、
人魚とともに生きることでした。
人間であることを諦められなかったキヨですが、
キヨは今までもこれからも人間なのです。

人間として人魚とともに生きていくことを選んだキヨの覚悟は計り知れないし、人魚への愛の誓いだと思いました。
再会の時までキヨが生きていたことには意味があります。
それは、他の誰にも目移りしない身持の固さと一途な愛です。

離れている間もお互いを恋しく思っており、
2人は唯一無二の存在なのです。

なんで60年後の約束なのに59年後に再会したの?
とずっと考えていました。
で、もしかしてキヨは毎年人魚に会いに来ていたのかな?
なんて思ったりしています。
本編では明らかにされていないので想像でしかないのですが、
それほど人魚に会いたかったのかな……?
なんてロマンチックな事を思ったりしています。

描き下ろしは、甘やかす人魚と甘やかされるキヨが可愛く、
電子限定の描き下ろしはコミカルで笑ってしまいました。

その後の2人がどうなっていくのか分かりませんが、
どちらか一方が欠けるということはないと思います。
それほどの強い決意と愛を感じる物語でした。








6

気づいたら……

泣いてたね!

1度で人魚のことを理解できてなかったのに、何故か泣いてたわ〜。

3

“欲”もなにもかも全て貴方と共に

人外ものはあまり得意な方ではなかったんですが
最近魅力がわかってきたような気がします。
人ではないものが人を愛してしまった時、どうにもならない隔たりがあったりしながらも
想いは決して止められるものではないのが切ないんですね。
今作は不老不死の人魚が人間を助け娶り、その人間をも不老不死にしたお話で
ちょっと強面のおじさんが触手プレイなどされてしまうなんともお得感のある内容です。
キヨが人魚に抱かれる時、声を抑えたり顔を隠したりするのが妙に色っぽい…。
もちろんシリアスな部分もあって、考えさせられる事もありました。
生き続けることは決して幸せとは言えなくて、
キヨが死ねる方法を知ってしまっても人魚が孤独になるからと
自分が苦しいことより人魚を悲しませたくないなんて愛しかない!!
人魚の、キヨという人間を巻き込んで彼に嘘をつき続けた罪悪感と
それでも生きて一緒にいてほしい“欲”の絡み合った感情が
シンプルに大切だと思うものよりも複雑で深みがある印象でした。
人魚じゃないの他の人外も人間に化けるのがうまくて
人間らしい心情が好ましかったです。

2

修正が、、、

人魚と、人魚に見初められて伴侶にされてしまった人間の男のお話。
人魚はとても嫉妬深くて、伴侶に選んで自分の身を分け与えた人間には、死して別れることも許さず、不老不死の身にして、そして、その先は、、、。

寿命違いの恋には問答無用で萌えてしまう&泣いてしまうのですが、この作品も、朝から(読み始めたのが朝の8時半だったんです)気持ちよく泣いたわ。
時代設定は、多分今より100年以上昔、妖怪などの人外の妖たちが、徐々に居場所を失って、人間社会からは見失われつつあった頃。
この、失われつつある人ではないものっていうのにも問答無用で萌えてしまう&泣いてしまう。
この本、お話的には、ほぼ神だけど、ただただ残念な事に、肝心な人魚の一物が修正のためにどんなものなのかがわからない。
これって、とっても重要なポイントだと思うのに、修正が憎い。

2

この作品が収納されている本棚

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