孤独な癒し人は永久の愛を知る

kodoku na iyashibito wa eikyu no ai wo shiru

孤独な癒し人は永久の愛を知る
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×24
  • 萌2
  • 中立5
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
2
得点
32
評価数
14
平均
2.8 / 5
神率
7.1%
著者
宗川倫子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
小禄 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
価格
¥870(税抜)  
ISBN
9784344845695

あらすじ

コルマンド王国から海を隔てた小さな島。その島で診療所を営むモンフィス家では、双子が誕生すると必ず男児に特別な力が宿る――。自らの体力と引き換えに病や傷を治す“エクラの力"を持って生まれたリュカ・モンフィスの夢は、たくさんの人々を癒やしてあげること。17の年、リュカは反対を押し切り家出同然で本土へ渡る。しかし、希望を抱いて訪れた土地では、誰かを癒やしてあげるどころか日々の暮らしで精一杯だった。そんな時、アルという王族に仕える騎士の青年に出会う。リュカにとって、快活で行動力のあるアルは魅力的だった。そんなアルとの貴重な時間を重ねていた矢先、リュカの能力を知った宿主夫婦に監禁され、無理矢理力を使わされてしまう。さらに、万能だと思っていた能力には限界があり、リュカは次第に力を使うことが怖くなってしまい――?

表題作孤独な癒し人は永久の愛を知る

アル,25歳,偶然出会った快活な青年
リュカ,18歳,病や怪我を治す「エクラの力」の持ち主

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数2

評価が難しいよ

こちら、主人公成長ものです。
病や怪我を治す事が出来る不思議な力を持った青年が、挫折や失敗を経て成長し、愛を得て幸せを掴むまで。
それらを丁寧に綴った、感動的なお話でした。

作者さんのデビュー二作目になりますが、デビュー作である「触れて、感じて、恋になる」がとても好みだった為、楽しみにしてたんですよね。
で、実際に、ストーリーといい設定といい、とてもツボ作品で面白かったんですよね。
ただ、微妙に引っ掛かる点なんかもちょくちょくあって、評価が難しい・・・。
そんなワケで、「萌」とさせていただきました。

ただ、この引っ掛かる部分ですけど、私の心が大変狭いせいですので!
そして、完全に個人的な好みのせいですので。
いや、なんかさ、主人公がかなり未熟なんですけど、その成長を優しく見守れる姐さんにはいいと思うんですよ。
でも、人間が出来てない私には、いちいちイラッときちゃうんですよね。
勇気があるととるか、浅はかだととるかで好みが分かれそうな気もするんですけど。


ザックリした内容です。
自らのエネルギーと引き換えに、病や怪我を治す事が出来る「エクラの力」の持ち主であるリュカ。
18才になった彼は、周囲の反対を押し切る形で、たくさんの人々を癒す為に島を出て本土に行きます。
しかし、厳しい本土では、生きて行くだけが精一杯の毎日で、望んでいた「人々を救う」事がなかなか出来ない状態。
そんな中、森で偶然出会った快活な青年・アルの怪我を癒した事をキッカケに、彼と親しくなって行きますがー・・・と言うものです。

こちら萌え処ですが、主人公の成長に、スパダリである攻めからの包容力あふれる愛情でしょうか。

実は最初の方ですが、リュカはかなり悲惨な目に遭います。
島では「エクラの力」の持ち主として大切にされた金髪・赤い目が、こちらの本土では異質な物として敬遠されるんですよね。
で、小悪党である大家夫婦に騙され、辛い肉体労働に給料まで騙しとられている。
また、「エクラの力」の事がバレると、金儲けの為にボロボロになるまで利用され、生きる気力すら無くしかける。
いやもう、大家夫妻が絵に描いたような小悪党ですよ。
ここまで分かりやすく底の浅い悪者って、久々ですよ。

で、そんなリュカを救いだすのが、森で出会った謎の青年・アル。
監禁された上に鎖で繋がれていたリュカを助け出し、城へ連れて帰る。
そう、彼の正体ですが、実はこの国の第二王子だったんですね。

ここから、リュカの心の傷に寄り添い、すっかり自信を無くしてしまった彼を、少しずつ少しずつ立ち直らせてゆく。

今回、一番の見処となるのが、主人公の挫折や失敗を経ての成長じゃないかと思うのです。
島での彼ですが、周囲から完全に守られた状態で、エクラの力を使っていたワケです。
それが過酷な状況に置かれ、更に万能だと思っていた自身の力に限界がある事を知り、手痛い挫折を味わう。
で、失敗を恐れるあまり、力が上手く使えなくなる。

主人公が自分としっかり向き合い、恐れや不安を乗り越えて成長してゆく。
そして、そんな彼を見守り、支えてあげる攻めと言う、とても感動的なストーリーなんですよね。
また、王宮内の陰謀に巻き込まれと、ハラハラドキドキの展開なんかも盛り込まれてまして、飽きずに読ませてくれるのも上手い。

いや、とにかくアルが、器の大きいいい男なのです。
傷つき萎縮してしまっているリュカを、丸ごと包み込むように受け止めてくれるのが素敵なんですよ。

ただ、個人的に引っ掛かる部分。
えーと、リュカですが、かなり未熟なんですよね。
で、自身の力を過信してるみたいな所が、なんか鼻につくと言いますか。
いや、たくさんの人を救いたいと家を飛び出すわけですが、これがめちゃくちゃ浅はかに思えちゃう。
本当に救いたいと思うなら、諦めずに身内としっかり話し合うべきじゃないんかなぁ。
最悪、生活出来る基盤だけでも準備しとくべきじゃないんかなぁ。
そもそも、本土のたくさんの人を救う前に、まずは守り育ててくれた島の人々を救うべきじゃないんかなぁ。
なんか「たくさんの人々を救いたい」と言うのが、自身の「特別な力」に酔ってるだけに見えてきちゃうんですよ。
そんなだから、本土でアッサリ騙されちゃうしね。
てか、世間知らずなのは仕方ないけど、ここまでいいように使われてると、逆にイライラしてきちゃうんですよ。
頭が足りないんじゃないかと。

あと、こちら、リュカの視点で進みます。
そのせいか、アルがリュカに惹かれた理由が分かり辛い。
アルの「愛してる」と言う告白が、唐突に思えちゃうんですよね。
アルはすごく親切でいいヤツだなぁと思ってたら、次には「愛してる」なんですよ。
ちょい早いよ。

それと、細かい事をブツブツと申し訳ないですが、シャルナン(アルの兄王子)がぶっちゃけすぎ。
いくら信頼する弟が連れてきた相手(リュカです)だろうと、国の今後に関わってくるそんな大事な事を、アッサリ話しちゃうなよ。
細かいんですけど、こういうちょっとした違和感を感じる部分が、所々であるんですよね。

まぁそんな感じで、ストーリーとしても好みだし感動的だし素敵な作品なんですけど、個人的には引っ掛かる部分も多い。
評価に困る作品でした。

ただ、主人公のキャラが好みなら、素敵な作品だと思います。
何と言っても、そんな主人公の成長が見処ですしね。

10

納得のいかない部分が……

2018年8月、宗川さんの書いた『触れて、感じて、恋になる』を読んで「え?これが第一作目?それは凄い」と思ったんです。すぐにちるちるの『好きな作家』欄にお名前を入れて、待つこと1年3か月。
……うーん、異様に膨らんだ期待が良くなかったのかもしれません。

主人公のリュカはクルカ島という小さな島で、病を治す『エクラの力』を持って生まれました。リュカは島以外では秘密にされているこの力を使って「沢山の人の病の苦しみを減らしたい」と思っています。しかし、育ての親の叔母は1日に1人の患者しか治療を許してくれません。本土のコルマンド王国にはもっと沢山の病に苦しむ人がいると聞いたリュカは、叔母の意向を聞かずに海を渡り診療所に勤めようとするのですが、金髪と紅い目という風貌によって差別され、貧しくゆとりのない暮らしを送る事しかできません。
そんな暮らしの中、森の中で落馬した騎士を助けます。リュカは自分を見た目で差別しないアルに心を許します。また、アルもリュカには心を開き、何度か森で会って一緒の時間を過ごすようになります。
ある日、溺れた子どもを助けるため力を使ったことでリュカの力のことが下宿先の大家夫婦にばれてしまいます。彼らはリュカを監禁し、金もうけに利用するのですが……

最初に感じたのは「ひょっとしてこのお話、ピノキオ?」ってことでした。
いや、リュカは怠け者で享楽的ではないのですけれどもね。でも、未熟さという点で彼がピノキオなら、物語が流れていく上で、とても大切な何かを自分の手で掴んで行くであろうと思ったんです。だから、リュカの正義感や人に尽くしていきたいという思いが、悪い結果を呼び起こす度に「この経験が後に大きな成果になって返ってくるはず」と思って読み進めたんです。

この見立てが見事に外れまして。
話を大きく動かすのは『リュカの努力や成長』ではなくてあくまでも『ラッキー』なんですね。
いや、リュカ自体は努力もするし、とても成長しますよ。
でも、それが話を動かす起点になっている訳じゃない。
話の体は『成長物語』なので、ここが非常にもやもやするんです。

あと、どうしても理解できない部分がいくつかありまして。
まずアルのリュカに対する気持ちです。
好感を持っているのは伝わるんですけれど、それが恋に変わったのがいつなのか、何故なのかが解らない。

もうひとつは、叔母の行動ですね。
いや、リュカの自立の為だったのかもしれませんが、リュカの体を害するかもしれない力を使用することを放置しちゃうのが解らない。お話の終わりの方で、彼女がリュカの居場所を掴んでいたこと等が明らかになるのですが、それなら余計、島にいる時と本土に渡ってからの体調管理の落差がちょっと理解できないんです。子どもへの愛(実の子ではないけれど)って、ちょっと違うんじゃないかと。

最後に、ずっと秘密にされていた『エクラの力』を「そんなに簡単に公開しちゃっていの?」ってことです。何かマズイことがあるからずっと島外秘だったんじゃなかろうか?島民は怒らないのかしらん?

ああ、すごく長くなってしまった……
これも作家さんへの愛故だとお許しください。
またしても次作を、首を長くしてお待ち申し上げます。

5

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